白ウサギ「もっちぃ駅長」永眠 人間なら90歳超 山形鉄道社長ら感謝、年間1000人客呼び込む

山脇 未菜美 山脇 未菜美

山形県を走る山形鉄道の宮内駅で駅長を勤めていた白ウサギ「もっちぃ」が20日、亡くなった。13歳の雌ウサギで、人間であれば90歳超という。少子高齢化の影響で利用者が減り、経営難だった同鉄道。無人駅だった宮内駅にもっちぃが暮らすことで、年間1000人近くの客を呼び込み、「ヌード写真集」を発売するなどしてグッズの売り上げを伸ばした。中井晃社長(69)は「主治医にウサギの寿命は6、7年と言われていました。長く生きてくれ、ありがとうという思いで見送りました。とても大事な存在です」とコメントを寄せた。

お客さんを出迎え、お見送り

 もっちぃは2010年、宮内駅の隣町の農業高校で生まれた。駅舎内にミニ動物園を作り、子どもも大人も楽しめる駅を作りたいとの社員の意見があり、宮内駅で育てることにした。農業高校から譲り受けた3匹は、白1匹と茶色の2匹。白いウサギはふわふわと丸いお餅のように見えたため「もっちぃ」、茶色は「ぴーたー」「てん」と名付けられた。もっちぃが駅長となり、ぴーたー、てん、近くのそば屋で暮らす助役のカメ「かめ吉」を部下に従えていた。

 もっちぃの仕事は、駅の中の飼育スペースで遊ぶこと。社員が抱っこして、列車に乗るお客さんを見送ることもあった。その愛らしさから、瞬く間に全国で話題に。2012年には、写真集も出版。ウサギのキャラクターをあしらった「もっちぃ列車」も走り、「まんず、フラワー長井線さ、ござっておごやえ(いらっしゃい)」と山形弁でのアナウンスする車掌も人気になった。

笑って過ごせる日々をありがとう

 ぴーたー、てんが亡くなり、以降も宮内駅を支えてきたもっちぃ。かかりつけ医と相談し、21年12月から高齢のため長期休業を取り、社員の自宅で暮らすように。2、3カ月前には、歩くのも元気がなくなっていたという。「いずれこの日が来る」と社員らは覚悟しながら過ごし、今年6月20日23時50分、横になり、眠るように亡くなった。後日、お別れ会を開く予定という。

 もっちぃの様子を投稿してきたツイッターにも、訃報を報告。もっちぃと6年間働いてきた駅員は「巡回では後ろに付いてきていつもわざと隠れたりして困らせて、そでも毎日愛おしかったよ。もっちぃに出会えて本当に毎日楽しくて笑って過ごせることができました。今までお仕事お疲れ様」などと思いをつづっている。

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