減少傾向だった理容師、なぜ今人気? 理由はバリカン使った流行のヘアススタイル…昔ながらの「散髪屋」イメージを脱却中

京都新聞社 京都新聞社

 美しい刈り上げや女性の顔そりなど理容師ならではの技が全国的に流行する中、京都でも養成校の人気が高まっている。京都府内で唯一、関連技術を教えてきた京都理容美容専修学校(京都市南区)では、入学者が急増。2022年度には女性だけが学べる理容師養成校も市内に新設されている。関係者が腕を磨き、「バーバーの技だから『映(ば)える』」と発信を強化している。

 国勢調査によると、理容師の数は1990年の27万人から2020年には15万人に減少した。バリカンを使ったカットが男性のロングヘアの流行などに対応できず、美容店に顧客を奪われたためだ。京都理容美容専修学校の入学者数は近年、カット以外にメークなども学ぶ美容科が200人超だったのに対し、理容科は理髪店の子弟を中心に毎年15人程度と低迷していた。

 しかし、22年度は入学者が30人、23年度は32人と急回復している。しかも、半数以上は理髪店の子弟以外の出身。同校教員の三上喜比古さん(47)は「理容師が格好いいという認識が広がってきたのでは」とみる。

 背景には、バリカンを駆使した「フェードカット」が、米ニューヨークを発端に世界で流行していることがある。襟足を短く刈り上げ、頭頂部に向かって少しずつ長くする髪形。スポーツ選手やヒップホップアーティストらが交流サイト(SNS)で発信し、若者の心を捉えた。

 もともと美容師志望だったものの、理容師を目指している2年の坂本心太郎さん(19)=右京区=は「好きな歌手がフェードカットにしたのがきっかけ。この髪形を作れるようになりたい」と語る。

 また、女性向けシェービング(顔そり)の人気の高まりも大きい。結婚式場や富裕層、介護施設への出張などで手堅い需要があるが、シェービングは法で理容行為と定められている。理容師養成施設校「バーバープライド」(中京区)は、この技術を学べることを売りに昨年開校し、美容師8人を含む16人が学んでいる。

 教頭の田中克典さんは「理美容業界は給与の安さなどで離職率が高い」と指摘した上、「ニーズのある技術を教え、女性の自立した働き方を応援したい」と語る。

 府理容生活衛生協同組合によると、加盟する約640店にも売り上げを伸ばしている店が増えた。格好よく仕上げた髪形をSNSで発信するなど、昔ながらの「散髪屋」イメージ脱却が図られているという。

 理事の根津英和さん(62)=伏見区=は「志望者が増えてきたこの機会に、世界でも高いレベルにある日本の理容技術を学生に伝えたい」と意気込んでいる。

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