日本では本日6月9日から公開が始まったディズニー実写映画「リトル・マーメイド」。アニメ版では白人だった主人公アリエルを、黒人女優のハリー・ベイリー(23)が演じていることでも話題になっている。先に公開が始まった国外では全体的に興行収入がふるわず「損益分岐点にすら届かない」と予想する海外メディアもある。
配給会社が集計する興行成績を公開しているサイト「Box Office Mojo」によると、今月7日時点での同作品の興行収入は3億4000万ドル。内訳はアメリカ国内が2億ドルで、それ以外の国の合計が1億4000万ドルとなっている。すでに主要国の多くで作品が公開されており、この数値が逆転する可能性はなさそうだ。
メジャーな映画スタジオが手がけた看板作品は、アメリカ国外での興収が国内を上回るのが一般的だ。例えば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」では、国内3億3000万ドル/国外4億6000万ドル、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」では国内5億7000万ドル/国外7億4000万ドルなど。リトル・マーメイドについては、アメリカ以外での人気が低迷している結果と言わざるをえない。
また、アメリカ国内での客入りにも失速の傾向が見られる。週末の興収は全体の数字を大きく左右するが、公開から2回目の週末の興収は4100万ドル。前週の1億1900万ドルと比べて56%ほど減少した。
アメリカのエンタメメディア「Bounding Into Comics」では、興行アナリストが本作の損益分岐点を6億2500万ドル~7億5000万ドルと試算。最終的な興行成績は5億5000万ドル~6億5000万ドルで「5000万ドル~1億ドルの損失が出る大コケになっても驚かない」と予想している。他海外メディアでも「赤字」「上手くいってもぎりぎり黒字」といった試算が一様に出ている。
日本でも、以前からポリティカル・コレクトネスに関する議論が巻き起こってきた。「アニメで親しんだアリエルのビジュアルが完全に無視されて悲しい」「黒人差別とかじゃなく、アリエルはアリエルらしい人にやってほしい」といった声も根強い。こうした受け止めが、日本での興収にどういった形で反映されるのか注目したい。