「懐かしの味、なくしてはいけない」地域で愛されるアイスキャンデー守った! 50代で店主が急逝、廃業の危機救った女性「何かの縁だと」

京都新聞社 京都新聞社

 京都府京丹後市丹後町の間人地区で地元住民や観光客に愛されてきた氷菓「間人アイスキャンデー」の店主が今春、交代した。長年店主を務めていた男性が昨年5月、50代の若さで病気により急死。一時は廃業も危ぶまれたが、手作りの味に親しんできた地元の女性が店を引き継ぎ、“懐かしの味”を守る決意を新たにしている。

 女性は工務店役員の久保麻子さん(56)=丹後町間人=で、4月末から新たな店主としてアイスキャンデー作りに奮闘している。

 懐かしの味は、店主だった男性の母親中江和美さん(80)=同=の次男康彦さんが、1990年代初めに廃業した元祖「間人アイスキャンデー」の元店主から教わり96年に復活させた。

 しかし、康彦さんは97年12月に27歳の若さで病死し、長男の信彦さんが弟の遺志を受け継いで翌年4月に現店舗をオープンさせた。信彦さんは母親らと店を切り盛りしてきたが、昨年5月に病気のため53歳で急逝した。

 中江さんがキャンデーの製造、販売を続ける中、親類の久保さんは6~8月の繁忙期を手伝うこととなり、中江さんから「来季は閉店したい」という思いを聞いた。

 4人の子どもたちと間人アイスキャンデーの味に親しんできた久保さんは「懐かしの味をなくしてはいけない」と、跡を継ぐ意思を伝え、中江さんが託したという。

 キャンデーは、ミルク、あずき、抹茶、イチゴ、ブルーベリーの5種類。水や砂糖、でんぷんなどを主原料に、添加物は使わず、「シャリシャリした食感、べとつかない、あっさりとした懐かしい味わい」が多くのファンを得てきた。1本80~120円の低価格も魅力で、まとめ買いする人も多い。

 久保さんは「中江さんがアイスキャンデーの店を始めたのが50代半ばで私と同じ。何かの縁だと思い、長く愛される味を守っていきたい」と意欲を話す。
 同店は原則水曜日定休(原則午前11時~午後6時)。9月末ごろまで営業予定。電話0772(75)1402。

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