廃業危機の純喫茶オーナーを翻意させた1枚の紙ナプキン… 客が残した手描きイラスト&メッセージが話題

門倉 早希 門倉 早希

「1日の売り上げが1万円という日々が続き、常に『廃業』という言葉が頭に よぎっていた2年前、ナプキンの裏に描かれた、イラスト付きの このメッセージをいただいて『やれるところまでやってみよう』という気になり、そして今があります」

そうツイッターに投稿したのは、東京・上野の純喫茶「珈琲 王城」の公式ツイッターアカウント(@coffeeoujyou)。お客からのあたたかい応援により今日があるという心温まるエピソードに、2.2万いいねがつきました。

添付写真には、イラストが描かれた紙ナプキンが写っており、王城で提供しているパフェのイラストと、「すごく美味しかったです。次はピラフを食べに来ます。コロナに負けないで下さい!!」というお客からの激励の言葉が書かれていました。この出来事とツイッターの反響について、三代目オーナーの玉山さんにお話を伺いました。

「お客様のためにも、もうひと頑張り」

コーヒーはもちろん、パフェやピラフといった喫茶店の定番から、自家製ミートソースがたっぷり乗ったスパゲッティなど多様なメニューを提供する同店。創業から40年以上続いており、昭和レトロな雰囲気が楽しめると人気の純喫茶です。

しかし、コロナが流行しだした2年半ほど前から、売り上げに大きな影響が出始めたといいます。「(コロナ禍)以前はだいたい1日10万円前後は売上がありました。しかし、緊急事態宣言前後には売上が1日1万円になってしまう日も(利益ではなくあくまでも売上です)」と玉山さん。

日によって変動はあるものの、売上は以前の約10分の1。材料費、お店の維持費、人件費などを考えれば危機的状況です。さらに、コロナ禍以前に「今後も長く続けられるように」と借金をして床を張り替えと椅子を新調したところだったといい、その矢先のパンデミックに苦難を強いられました。

経営は困難を極め、「廃業」の2文字が頭に浮かんでは消える日々を過ごしていた玉山さん。そんなとき、裏にイラストが描かれた紙ナプキンをお店のスタッフが見つけたといいます。「私は現場にいませんでしたが、スタッフの話では、会計後にテーブルを片付けていた際に見つけたという話でした」。

「コロナに負けないで下さい」。玉山さんは紙ナプキンに書かれたメッセージに胸を打たれ、「自分のため・スタッフのためだけでなく、お客様のためにも、もうひと頑張りしようと」と前向きな気持ちを持てたことを明かしました。それから2年が経った今でも、「もうひと頑張り」を続けながら王城は営業しています。

SNSを活用して店内や料理の写真をアップ、「おひとりさま大歓迎」と打ち出すなど、日々お店の魅力を発信しており、ツイッターのフォロワーは2.2万人にものぼります。

投稿が注目されることもあり、今回のツイートのほか、2年前に投稿した「今後も長く続けられるようにと借金をして、2年前に床の張替をし、昨年に椅子を新調した矢先の今回のコロナショック…。正直、今、経営的にギリギリですが意地で頑張っています。コロナになんか負けたくない」と自身を鼓舞するツイートには7.2万いいねがつきました。

SNSがきっかけで同店を知る人も多いようで、「(売上は)低空飛行を続けていましたが、以前にした(7.2万いいねがついた)ツイートから多くの方にご来店いただき現在に至ります」と玉山さん。

今回の投稿への反響については、「純粋にみなさまのおかげだと思っています。ツイッターが無かったらと思うとぞっとします」と感謝の気持ちを表しつつ、「エヴァンゲリオンじゃないですが、あきらめなければ奇跡は何度でも起こるんだなと思いました」とユーモアたっぷりなコメントで答えてくれました。

「珈琲 王城」の場所は、東京都台東区上野6-8-15。営業時間は午前8時〜午後7時まで。

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