お母さんとはぐれたの? 助けを求めるような鳴き声 保護した子猫と先住猫との暮らしが始まった  

渡辺 陽 渡辺 陽

母猫とはぐれた子猫

あんずちゃん(3歳・メス)は、2019年9月、大阪府在住のNさん宅の近くに現れた。Nさんは3日ほど前から「子猫の鳴き声がするな。近くにいるのかな」と思っていた。珍しいことではないのだが、どうやら鳴き声の主は1匹。母猫とはぐれてしまったようだった。

「翌日から雨の予報が出ていて、ちょうど家の周りは工事しているところが多かったので深い溝がありました。もし流されたら子猫は死んでしまいます。意を決して保護して迎えることにしました」

動物愛護センターに捕獲機を貸してもらえないかと電話したが、「猫を飼うために捕獲するのなら捕獲機を貸し出せない」と言われた。よく分からない理由だと思いながらも、紹介してもらった動物病院に電話すると捕獲機を貸し出してくれた。9月30日、Nさんが捕獲機を設置すると、2時間ほどであんずちゃんは中に入った。生後2カ月くらいだった。

隔離部屋に設置したケージに入れると、最初はシャーシャー言っていたが、1時間もすると落ち着いた。ただ、姿は見えない。あんずちゃんは猫ハウスに隠れたまま出てこなかった。

2匹の先住猫は早速匂いを察知して、隔離部屋の扉の前を巡回した。

猫のペースで慣れてくれたらいい

2日目と3日目、あんずちゃんは早朝に目覚めて鳴いていた。目を覚ましたNさんがごはんをあげると、一瞬静かになるがまた鳴き出す。猫じゃらしで遊んでみても同じことの繰り返し。ただ、だんだん慣れてきたのか、ごはんも完食し、トイレもした。

5日目、ケージの中に手を入れると怒ったが、扉を開けるくらいなら黙っていた。Nさんは、あんずちゃんのペースで慣れてもらえるよう、自分の中で決め事をした。

・自分から子猫に触れない
・トイレ掃除をするために子猫に近づいたときに怒られても淡々と作業する
・長時間目を合わせない
・子猫がそばにいても過剰に反応しない

その甲斐あって、あんずちゃんも徐々に心を許してくれるようになったという。

猫が好きな猫

やがてあんずちゃんはケージから出るようになったが、家具の隙間に隠れてしまった。しかし、先住猫のくるみちゃんと仲良くなり、部屋全体を使って追いかけっこをするまでになったという。

今ではすっかり家に慣れたあんずちゃん。まろんちゃんとくるみちゃんを見るとニャーニャー言いながら追いかける。なぜかギターケースが大好きで、蓋を開けるとどこからともやってきて中に入る。ごはんを食べる時は、お皿をひっくり返してから食べるという変わった癖もあるそうだ。

Nさんは、3匹のことを家族だと思って大切に育てている。

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