水素水から水素を集めて火をつけたらどうなる? 理系YouTuberの実験動画が話題に

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「水素水から取り出した水素に火をつけてみた結果」

YouTubeチャンネル『ラムダ技術部』を運営されている理系YouTuberのラムダさん(@yoidea)。この度、健康飲料に関する謎について取り上げ、話題となりました。

その飲料とは「水素水」。その名の通り水素が入った水です。病気や老化の原因となる活性酸素を除去する効果があることから、近年では美容・健康面で注目を集めています。

しかし、水素は本来、水に溶けにくい物質といわれています。さらに、水素水は無色透明であり、味も普通の水とほとんど変わりません。それらのことから、“水素水”とうたわれた製品を飲んでも、どれだけ水素が摂取できるのか、使用者には分かりづらいという難点もあります。

ラムダさんは、そんな水素水の謎に注目しました。

「普通の水が飲みたいのに家に水素水しかない時、水素を除去してただの水にする方法とは?」(要約)

という斜め上からのテーマで検証を行いました。

科学系YouTuberと協力、水素水に含まれる水素について調べました

今回の動画の撮影にあたり、ラムダさんは「薬理凶室」のメンバーであり、科学系YouTuberでもある、くられ先生とレイユール先生に協力を依頼。

大手飲料メーカーの販売する水素水を用いて実験を行いました。

水素水をメスシリンダーで500ml計量。ところが、ここで異変が起こります。

水素水が泡立っています。どうやら、気体が漏れている模様。容器に移し替えるだけで、他に何もしなくても水素は抜けていくようです――。

さらに実験を進めます。

水素水をビーカーに移し、混入している空気を抜いてから、オイルバスで加熱。

水の中に含まれていた気体が約6ml回収できました。ですが、計算してみると、飲料のラベルに記載されている水素濃度の最大量が含まれていたとしても、4.48mlにしかなりませんので、他の物質も含まれている可能性があります。水酸化ナトリウム水溶液を用いて、二酸化炭素を除去してみると、約1mlほど気体が減りました。

さて、残りの気体の中に、水素は含まれているのでしょうか…? 屋外に出て、火をつけてみます。水素が十分に含まれていると、「ボン」という鋭い爆発音がするはず。ところが、爆発しません。集められた気体に、水素はほとんど含まれていなかったようです…。

 

そこで今度は、より高濃度の水素が含まれている水素水を用いて、同様の実験を行いました。しかし、こちらの商品、加熱殺菌により他の気体が含まれていないこともあってか、回収できた気体の量はわずか1mlほど。理論値では6ml以上になるはずだったのですが、計算が合いません。

ですが、それに火を近づけてみると――。

見事に破裂音が。水素の存在が確認できました。しかし、取り出せた水素の量の少なさから考えて、直火で加熱しても問題はないとラムダさんは考察。

以上の実験を踏まえて、「水素水から水素を除去するには、低濃度のものであれば容器に注ぐだけで良く、高濃度のものでも一度湧かしてやれば良い」とラムダさんは結論づけています。

面白がる声、感動の声…たくさんの反響が

以上の内容の動画について、ラムダさんはYouTubeに全編、Twitterにダイジェスト版を公開。双方からたくさんの反響が寄せられています。

「水素は元素表でもわかる通り1番小さい物質だから簡単に抜けちゃうよね」
「つまり普通のウォーター」
「これで安心して水素を除去した水素水が飲めます!ありがとうございます!!」

水素がすぐに抜けてしまうことや、動画の結論について面白がる人――。

「気泡に近づけた時にちゃんと反応して、ちょっとでも本当に水素が溶けていたことに感動」

というような、逆に少しでも水素が含まれていることが実験で確認できて、感動する人――。

「このコラボは予想外だったけどめちゃくちゃうれしい」
「薬理凶室とのコラボは嬉しい!!」

薬理凶室のお二人とのコラボを喜ぶ人など、実にさまざまな方面からのコメントが寄せられました。

また、ラムダさんは今回、動画本編だけでなく、概要欄でも新たな試みを行いました。なんと、Chat GPTで説明文を生成しているのです。

水素水から実際に水素を取り除く方法を実験しながら、その過程を詳しく解説しています。さらに、通常の水素水や濃い水素水に関しても検証し、どのような状況で水素が抜けやすいのか、そして水素が生理的に苦手な方が安心して飲むことができるポイントを分かりやすく紹介しています。(説明文はChatGPTを使って生成)

的確に動画の内容を要約していて分かりやすくも、どこか機械的でAIらしくも思える文章。これに関しても、「概要欄みて爆笑しました」といった反応がありました。

ラムダさんに聞きました。

――今回の実験でわかったのは「水素水にはもともと水素はあまり含まれていない」ということ?「含まれているがすぐに抜けてしまう」ということでしょうか?

ラムダさん:わずかな作業の間でも抜けやすいということは間違いないと思います。もともと含まれている水素量の多い少ないについては、あえて明言していません。

――動画では水素水から水素を除去する方法について説明していますが、逆にあえて水素をきちんと摂取したい時にはどのようにすればよいですか?

ラムダさん:よく冷やして開封後すぐに飲み切ると良いと思います。

――薬理凶室よりくられ先生とレイユール先生の出演も話題になりましたね。コラボのきっかけは?

ラムダさん:きっかけは、ニコニコ超会議でご一緒する機会があったためです。自分は化学が専門ではないので化学分野や実験に精通しているお二人に依頼しました。

――概要文の説明にChat GPTを使用されたとのことですが。

ラムダさん:動画内の音声を文字起こしして、それをもとに300字程度に要約してもらいました。Chat GPTのような大規模言語モデルは要約タスクのような作業に向いていると再認識しました。

  ◇  ◇

水素水の性質について解明した実験。その結果をみて、「水素は酸化物(=つまり水のこと)になっているのでは?」などと面白がる声もありました。ただし、インタビューでのラムダさんのお話にもあった通り、今回の動画は「水素水の製品自体に水素が含まれているか否か」について言及したものではありません。

しかし、実験から「水素水はちょっとしたことで、すぐ中の水素が抜けてしまう」ということはいえるようです。水素を効率よく摂取するためには、あまり水素水をコップに移したりせず、開栓後はすぐに飲みきることが大切かもしれません。

その意味では、水素水を日々摂取している人にも、とても参考になる動画なのではないでしょうか。

■ラムダさんのTwitterはこちら
 →https://twitter.com/yoidea

■ラムダさんのYouTube Channel「ラムダ技術部」はこちら
 →https://www.youtube.com/@lambdatech

■くられさんのYouTube Channel「科学はすべてを解決する! [くられ with 薬理凶室]」はこちら
 →https://www.youtube.com/channel/UC_sxCGl2slqyAj9i26KLKuA

■レイユールさんのYouTube Channelはこちら
 →https://www.youtube.com/channel/UCVmjDtkP1msZwpCUTbUyABg

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