「偽スズメバチの巣」で、ハチがいなくなった!驚きの効果に多くの反響 科学的根拠はあるの?専門家に聞いた

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「蜂の巣の近くに【偽スズメ蜂の巣】ぶらさげたら、蜂がホンマにいなくなったので、こっそり報告します」

このようなツイートをしたのは、ゆるキャラとして“うどん”や“観光地”を中心に、香川県のPR活動を行っている「ツルきゃら うどん脳」さん(@udonnoww)。Twitterでは、香川の広報的な内容のツイートはさることながら、それとは関係のないつぶやきも度々行っており、5月には家に設置した防虫グッズの投稿が注目されました。

それは、ダミーのスズメバチの巣。スズメバチの巣のような形状、大きさのもので、ハチがよく集まる家の軒下などに吊るしておくと、本物のスズメバチが寄り付かなくなる、というグッズ。見たことがあるという方も多いのではないでしょうか?

そんな「偽スズメバチの巣」。うどん脳さんによると、昨年に名刺1.5枚分くらいのハチの巣を家に作られてしまい、今年もハチが同所に集まってきたので、試しに設置をしてみたといいます。ちなみに、そのハチの種類は、おそらくスズメバチではなくアシナガバチだとのこと。

結果「ハチが本当にいなくなった」そうです。その効果に、ツイートのリプ欄にも、たくさんの反響がありました。

「これは‼️是非欲しい‼」
「うちも付けてます(*^^*)」
「以前洗濯物に蜂が入っていて刺されたので購入してみようかな」
「効果あるのかと半信半疑でしたが、効果が期待できるなら買っておこうと思います」

さらに、「あ、これ!5年前から、某所でやっています。未だにスズメバチ、巣を作りません」と、本当に効果があるという人も。

実は、以前にもうどん脳さんはガムテープで自作の偽ハチの巣を作り、今回とは別の場所に設置したことがあったそう。しかし、その時は、本物のハチが大きな巣を作ってしまい、失敗に終わってしまいました。ですが、今回、市販のダミーのハチの巣を設置したところ、本当にハチがいなくなったとのこと。市販のものには、自作のものにはない効果の秘密があったりするのでしょうか?

うどん脳さんに聞いてみました。

――今年はどのくらいハチがいたのでしょうか?

うどん脳さん:目視で5~6匹ほどでした。

――設置後どのくらいで効果が現れましたか?

うどん脳さん:4月の20日に設置し、21日以降、ハチを見かけなくなりました。

――1日で効果が出たのですね!ちなみに、前に偽ハチの巣を自作した際は効果がなかったとのことですが、市販のものは自作のものと比べてどのような違いがあったと思われますか?

うどん脳さん:大きさや、リアルな巣の模様が入っているところかな、と思っています。

専門家「科学的な証明はされていない」購入は自身の判断で

偽ハチの巣の効果について語ったうどん脳さんのツイート。リプ欄にも肯定的なコメントがありました。

しかし、偽ハチの巣については、疑問を呈する人もいて、その効果については賛否両論あるのが実情です。

以前にも、まいどなニュースでは、この偽ハチの巣についての記事を掲載。その際、九州大学大学院農学研究院の上野高敏准教授より、「(偽ハチの巣の効果は)都市伝説のようなもので、根拠はない」とお話をいただきました。

ですが、近年さらに研究が進み、改めてその効果について見直された…といったこともあったりはしないのでしょうか。上野さんに、改めて専門家としての見解を聞いてみました。

「私の知る限り、現在もそれらしき学説は発表されておらず、科学的な証明はされていません」

ハチは毎年同じ場所に巣を作るとは限らず、風向きなどの環境の都合で活動場所が変わったりすることもあるため、偽ハチの巣を設置したのと同時期に、たまたま付近からハチがいなくなっていた、という可能性もあります。つまり、観察者の主観で、効果があるように見えてしまったという説が濃厚とのことです。

ですが、その一方では、柱や屋根の隅のほうなど、建物にハチが特に巣を作りやすい環境に設置するとハチが巣を作れなくなり、限定的に効果がみられる場合もあるかもしれない、とも話します。その意味では、まったく効果がないとも言いきれないようですね。

しかしながら、効果を実証するためには、数多くの広範囲に及ぶ実験を通じて、データを集めなくてはいけません。その点から考えると、偽ハチの巣に効果があると、科学的に説明するには、まだまだ根拠が足りないといえそうです。

また、上野さんはハチの駆除について、もっとオススメの方法を教えてくれました。

「前回の取材の時もお話したと思いますが、春ごろの巣が小さく、女王バチだけがいるような時期に殺虫剤を撒くなどすれば、簡単に駆除することができます」(上野さん)

早期発見・早期対処が何よりも肝心だと上野さんは話します。そのために、家の巣が作られそうな場所を把握し、普段から気を配って見回っておくことが大切とのこと。

このように、偽ハチの巣の効果の有無については、人によって見解が異なります。今後の購入を検討されている方は、専門家の考えや実際の使用者の口コミなど、さまざまな意見を参考にしながら、実際に使用するかどうか自身で判断された方が良いでしょう。

  ◇  ◇

今回、「偽ハチの巣」について発信してくれたうどん脳さんは、「うどん」が好きすぎて脳が「うどん」になってしまった、元人間の妖怪です。妖怪になり赤灯台で落ち込んでいるところを「オカピおじさん」こと岡谷敏明さんに保護され、面倒をみてもらいながら香川県の宣伝活動を行うようになり、約12年になるとのことです。

そんなうどん脳さんですが、今年の4月1日に、香川県観音寺市の「雲辺寺(うんぺんじ)ロープウェイ」とコラボした「うどんぺんじロープウェイ」というエイプリルフールネタがTwitterで投稿され、5月21日には「雲辺寺ロープウェイ一日駅長」を務めるなど、精力的に香川のPRを行っています。今後も、オリジナル商品を開発販売していく予定とのことです。

■うどん脳さんのTwitterはこちら
 →https://twitter.com/udonnoww

■うどん脳さんのホームページはこちら
 →https://www.udonw.com/

■九州大学大学院・上野高敏准教授のホームページはこちら
 →http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/ine/ueno/

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