プロ野球・阪神タイガースの試合のたびに客席で掲げられるタオルがあります。黄色地に躍動感のある黒い筆文字で「サンテレビ」。ひいきの選手名の応援ボードやタオルが揺れる中、異彩を放ちます。SNSには「サンテレビのタオル掲げてる人がおる」「なにこれめっちゃ欲しい」「こんなのあるんだ」などの声があふれ、盛り上がりを見せます。
阪神の応援グッズそっくり!実は球団公認
サンテレビ(本社、兵庫県神戸市)は、阪神戦を試合開始から終了まで完全中継することで知られる神戸の独立局。「サンテレビ筆文字フェイスタオル」は2022年4月、同社公式グッズとして発売しました。
グッズの担当者、同社編成部の水落理奈さんによると、タオルの発案者は熱烈な阪神ファンの「れーこ」さん。同社サイトでコラム「虎ギャル応援日記」も連載中です。
水落さんとれーこさんは普段から一緒に球場観戦する機会も多く、「新商品のアイデアについてもよく相談に乗ってもらっています」という仲。ある日、れーこさんから「筆文字名前タオルで、選手かと思ったら『サンテレビ』って書いてるやつあったら面白いかもってふと思いました」とメッセージが届き、水落さんは「めっちゃ面白いじゃないですかそれ!」。商品化に向け走り出しました。
「やるなら完全に選手名タオルと同化させた方が面白いという弊社側の無駄に熱い要望を、いつもお世話になっているシャープ産業さん(編集部注:球団公認グッズを手掛けるメーカー)へ相談したところ、実現できることになりました。『サンテレビ』の文字の下には阪神タイガースのロゴが入っていて、正式に球団から承認を受けた商品です。勢いよく走り始めたものの、実は申請が通るか少し不安でした。しゃれが通じるすてきな球団へ感謝です」(水落さん)
書道家もノリノリ「助っ人外国人風に書かせて頂きました」
遠くからでも目を引く力強い筆文字。「阪神の選手名タオルみたい」という声もありますが、それもそのはず。筆文字は阪神の公式応援グッズの定番「全支配下選手応援プリントフェイスタオル」の選手名を揮毫した書道家の晃鳳(こうほう)さんによるものです。
当時、晃鳳さんと水落さんはツイッター上でこんなやりとりをしたそうです。
晃鳳さん「カタカナだったので少し助っ人外国人風に書かせて頂きました」
水落さん「この度は、素晴らしい助っ人外国人風『サンテレビ』をありがとうございました!変なお願いしてすみませんでした…!感無量です!!」
晃鳳さん「点が入った場面やヒーイン、最後のエンディングの時にファンの方達が笑顔で掲げている姿をイメージしながら書きました」
発売後の売れ行きは好調で、タオル部門で人気上位の商品に。
「球場で掲げているファンの方を見るたびに発案者のれーこさんと2人でニヤニヤしています。弊社の中継日には、球場で掲げてくださるファンの方を見かけることが多くなりました。中継でタオルが目立つ度に『なんだあれは?』『自作なのか公式なのか』といった反応があるので、まだまだ認知されていないのかなと感じていますが、ネタだと勘違いされるレベルを狙って作ったので、ある意味大成功です(笑)。『買って持っていくとテレビに映るかもしれない』というのが最大の売りです」(水落さん)
「おっ!サンの店」実店舗とサンテレビ公式Webショップで販売中。税込み1320円。