昨年「きつねダンス」が大ブレイクした、北海道日本ハムファイターズ公式チアのファイターズガール。今年からは、ジンギスカン鍋をモチーフにしたグッズを手に踊る「ジンギスカンダンス」を披露して注目を集めている。両ダンスの“生みの親”である球団職員の尾暮沙織さんに企画の経緯や狙いを聞いた。
紅白出場や流行語選出…「きつね」の大反響
2008年から6年間、ファイターズガールとして活躍した尾暮さん。現在はチアやマスコットの運営統括を担う。きつねダンスは、球団マスコットであるキタキツネの「フレップ」をモチーフに発案したという。その人気は瞬く間に広がり、新語・流行語大賞のトップテン選出やNHK紅白歌合戦出場を果たすなど大きな話題に。尾暮さんは「まさかあれだけの反響をいただけるなんて想像もしていなかった。ファイターズガールの名が全国に広まってうれしい気持ちでいっぱいです」と話す。
昨年末ごろからは「次はどんなの考えてるの、って周囲からのプレッシャーがすごかった」と苦笑する尾暮さん。そんな中、これまで勝利時にファイターズガールが踊る楽曲として採用されており、チャンステーマとしてもファンに親しまれる「ジンギスカン」をリニューアルすることを思いついたという。「ジン ジン ジンギスカン♪」という軽快なメロディーが印象的なあの曲だ。従来のきつねダンスも継続してパフォーマンスしつつ、新球場移転に伴って新たなコンテンツを加えることにした。
人気メンバー滝谷さんは歌も上手い!
ジンギスカンのリニューアルにあたり、きつねダンスの曲を歌うアーティスト「Ylvis(イルヴィス)」が所属するワーナーミュージック・ジャパンに編曲を依頼。すると「ファイターズガールの知名度も全国的に上がっているし、せっかくならメンバーが歌うのはどうか」と提案され、アイドル「Berryz工房」が日本語でカバーした曲をベースにメンバーが歌唱することになった。
メインボーカルとして参加しているのは5人。子どもの頃に歌を習っていた滝谷美夢さん、北海道のご当地アイドルで活動経験のある大西真帆さんのほか、塩澤美咲さん、日戸琴音さん、吉田桃子さんに白羽の矢が立った。それ以外のメンバー全員も「ウッ!ハッ!」といった掛け声の部分を担当している。これまでファンの前で歌を披露する機会はなかったといい、尾暮さんは「メンバーの新しい魅力を知ってもらう機会になればうれしい」と話す。
「ジンギスカン鍋」タンバリンは一般発売も
初めてダンスを見た人が間違いなく疑問に感じる点は「あの手に持っている円盤は何だ?」ということだろう。こちらは「成吉思汗バリン(ジンギスカンバリン)」。ジンギスカン鍋をかたどったビニール製のタンバリンだ。グッズ担当者のアイデアだといい、尾暮さんも「可愛さよりも面白さの方で攻めています(笑)」と話す。5月中旬から一般販売を予定しており、ファンもタンバリンを手にして球場一体となってダンスを楽しむ光景も間もなく見られそうだ。
ジンギスカンダンスは、3月末の開幕戦で初披露した。尾暮さんは「ファンの方に初見では鍋とは伝わらなかった」と話すが、ダンスのレクチャー動画やSNSを通じて徐々に認知度が上昇。動画の再生数が150万回を突破したほか、今月4日にはフジテレビの情報番組「めざまし8」でパフォーマンスを披露するなど反響は広がっている。
「メンバーの力が大きいと思います」と謙遜しつつ「話題になってとてもうれしい」と喜ぶ尾暮さん。かつてファイターズガールとしてパフォーマンスした経験も仕事に生きるというが「当時と比べてお客様の反応や熱量も変わってきている。自分の時にできなかったことを今のメンバーにやってもらいたいという思いが強い」と話す。
新球場エスコンは、メンバーとファンが近い!
新本拠地の「エスコンフィールド北海道」(北広島市)はファウルゾーンが狭いことで知られる。グラウンドでパフォーマンスするファイターズガールから見ても、札幌ドームと比べて観客席との距離をかなり近く感じるという。尾暮さんは「お客様一人一人の表情が見えるぐらい近くなった。距離が縮まって熱い気持ちが直で感じられるのもいいいところ」とする。
人気沸騰中のジンギスカンダンスは、4月末からヒツジの耳を付けて踊るという”アップデート”も行った。尾暮さんは「ダンスをより多くの方に知ってもらい、一緒に球場で踊ってもらいたい」と笑顔を見せる。