「盗った方ご返却を」人気アクセサリー作家、店頭から見本が持ち去られる 悲痛な訴えに「返してあげて」の声殺到

金井 かおる 金井 かおる

大阪市内のデパートで開催されたイベント会場から、アクセサリーの見本が何者かに持ち去られました。なくなったのは百人一首をモチーフにしたピアス2つ。消えた2つには知る人ぞ知る深い関係性があり、アクセサリーの製作者は「歴史や百人一首に詳しい方だったのではないかと思う。教養のある方なら持ち去ってはだめだとわかるはず」と憤ります。

「ありえない」「許せない」非難の声が殺到

被害にあったのは人気アクセサリー「謎需要アクセサリーららら」の作家コウさん。

百人一首ピアスは、絵札100種類の中から、好きな札のデザインを2つ選んで一対のピアスにするという人気商品。見本はイベント初日の4月26日から、全100種類を木製のボードに差し込む形で陳列していましたが、3日目に来店客からの指摘で2つだけが消えていることに気が付きました。

コウさんはその場で自身のツイッター(@likelovelikes)を更新し、「百人一首の見本を盗っていかれた方ご返却をお願い致します。こちらは非売品の見本です。大変困っています」と投稿。悲痛な訴えに対し、ファンやツイッターユーザーからは、「ひどい」「なんてことを!」「ありえない」「これは許せない」「すごく悲しい」「本当に最低」「ちゃんと買って」「返してあげて」などの声が寄せられました。

コウさんに話を聞きました。

──異変に気付いたのはいつ。

「4月28日の午後3時ごろ、お客さまから『2つ足りない』と教えて頂きました」

──今回のようなトラブルは初めて?

「初めてです。台座の裏側に留め具が付いており、普通に引っ張ったのでは簡単には抜けません。力を入れて土台を押さえながら抜かなければ取れないのでとても驚きました」

──想定外の出来事だった。

「『まさか自分が』という気持ちです。レトロ博というイベントだったので、他の出展者さんはレトロな一点物の商品も多く、そういった方に被害がなくてよかったと思いました」

──被害届などは。

「被害届は出していませんが、イベントの企画担当の方にはお伝えしました」

持ち去られた2つの関係性…「知っていたのでは」

なくなった2つは、和泉式部の「あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな」と、小式部内侍の「大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立」の絵札。和泉式部と小式部内侍は実の母と娘です。

コウさんは、持ち去った人物は歌人二人の関係性を知っていたのではないかと推察し、「和泉式部と小式部内侍親子を持って行かれているので、きっと百人一首がお好きで、ご自分で使用されるのではないかと思うのですが…。何年も前に制作し、全国の会場で展示しているピアスの見本品ということもあり、衛生面と強度に不安があるものなので、絶対に使用しないで頂きたいです」と呼び掛けています。

     ◇

イベントが終了し、コウさんはツイッターを再び更新。応援してくれた人たちに向け、「たくさんの方に『大阪のこと嫌いにならないでね』って言われたんですが嫌いになんてならないです。これからも大阪には来たいし、いつも全力で謎需要アクセサリー見てウケてくれる大阪のお客様が大好きです」と心境を伝えました。

     ◇

百人一首ピアスは、イベントやオンラインショップなどで販売。「人物の歴史的な背景や関係性、競技かるた経験者の方には得意札など、いろんな組み合わせで楽しんで頂いています。パッケージも百人一首をイメージしたものなので、飾って頂いたり、プレゼント用にお迎え頂いたりすることも多いです」(コウさん)。オンライン価格2750円(送料込)、イベント価格2530円(いずれも税込み)。注文時にピアスかイヤリングが選択できる。

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