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学校のPTA、どうすれば納得できる団体に?「必要なこと見直せば違ってくる」気持ちよく活動できるポイントを聞いた

京都新聞社 京都新聞社

  新年度が始まり、各学校のPTA活動も動き始めました。ただ最近は共働きの増加などで、負担を感じる人も増えています。どうすれば参加する人もしたくない人も納得できる団体になるでしょうか。2021年に「PTA活動における適正化・活性化ガイドライン」を作った川崎市PTA連絡協議会の舘勇紀会長に聞きました。

 ―ガイドラインを作ったきっかけは。

 「当時、強制的な加入が問題になってきた頃で、是正するための取り組みが必要だと考えた。ワーキンググループを作って検討し、校長会とも話をして作った。大津市教育委員会が学校向けに作っていたPTA運営の手引きなども参考にした。ただ適正化や法令順守だけ進めても、加入率が下がって、PTAが存在できなくなる。入りたくなるPTAに向け、活性化策も外さないようにした」

 ―ガイドラインでは、PTAについて「任意加入の団体であり、入退会は会員の意思で決められるもの」とはっきりと記している。

 「例えば、保険の契約でも、知らないところで成立していることなどあり得ない。それと同じことだ。また、活動に賛同しない人に無理に入ってもらっても、合意形成が難しくなる。逆に、やりたい人が集まって運営をすれば活動がスムーズになると思う」

 ―役員や委員の選出が負担になっている団体も多い。ガイドラインでは病気や家庭の事情などを免除の理由として本人の意思に反して公開、審査することは人権問題になりかねない、と指摘している。

 「本人の意思とは別に無理やり決めるのは重大な人権侵害で、自宅への押しかけなどもPTAのイメージがネガティブになる。ただ自発的な立候補は理想型だが、誰も手を挙げないこともある。大事なことは、そこからどうするかだ。あるPTAは立候補者がいなかったが、一部の会員に丁寧に説明し、納得した上で立候補してもらった。今のPTAは、委員の定数などにとらわれすぎている面もある。やれる人がやれる時にとするのであればボランティアベースになってくる」

 ―PTAに入っていない家庭の児童や生徒も平等に扱うべき、としている。

 「PTAは公益性があるから、学校の施設など優先的に使わせてもらっている。卒業記念品の配布などで加入していない家庭の子どもを差別すると、その公益性が揺らぐ。全ての子どもたちにPTAの会費から何かをするという発想であるべきだと思う」

 ―PTA会費の用途について、学校の運営に必要な経費や物品は市の予算で充当すべきで、例えば校舎の雨漏り修繕やカーテンのクリーニングなどにPTA会費を充てるのは適切ではないと、具体例まで示している。

 「学校施設にPTA会費が充てられることがよくあったので、検討してみた。調べると市教委が公費で対応すべきか、私費ですべきかの区分を作っていたので、その情報ももらって基準を作った。PTAは社会教育に関わるものにお金を出すべきで、それがPTAが対応するべき活動か学校とよく協議した方がよい」

 ―PTA活動の活性化に向けた提案もしている。前例にとらわれないことやITの活用など、PTAに参加しやすくなる環境の整備を呼び掛けている。

 「みんなで楽しく、気持ちよく活動できるようになってほしい。そのためには、強制性はない方がいい。また、どんな理念で、何の目的のためにPTA活動をするか出発点を明確にした方がいい。イベントや家庭教育、バザーなど、何を大事にするか考え、目的に沿っていなければやめてもいいのではないか。必要なことを見直せば、みんなの納得感も違ってくる。また人間と人間の話なので、PTA会長らが学校や地域とうまく関係をつくっていくことも大事だろう」

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