「2年前くらいに趣味で友達と作った実写風 進撃の巨人 。日本の漫画、アニメの実写化は多いけど、フルCGで原作に忠実に映像化する方向性も個人的にいいと思う。需要あるかわからないけど」というつぶやきと共に、今川真史さん(@Masashiimagawa)がTwitterに投稿した動画が大きな話題になりました。
その動画はわずか34秒ながら、爆発のような雷と共に出現する巨人や、立体機動装置を使ってすさまじい速度で移動する調査兵団など、原作漫画の世界観がそのまま立体化したかのような大迫力!明らかに趣味の域を超越したハイクオリティな動画に、たちまち16万以上のいいねがつきました。
さらに今川さんは、「ただ単に全部リアルなCGにするんじゃなくて漫画風な表現を残すために雷、立体機動のワイヤーなどは1フレームずつ手書きで作りました」とつぶやき、『実写風 進撃の巨人』のメイキング動画も投稿。
すでに動画再生回数約2,150万回を記録し、「続きが見たい!」という声も殺到した『実写風 進撃の巨人』について、今川真史さんにお話を聞きました。
鳥肌級の映像を作ったのは、世界の最前線で活躍するクリエイター陣
「すご過ぎる!全編CG化するべき!」
「これこそ実写だよ。かっこよすぎてとんでもない」
「見た瞬間鳥肌たった趣味のレベルやないぞすげーまじで」
「これで映画観てええ!」
こんな絶賛のリプライが海外からも殺到した『実写風 進撃の巨人』は、諫山創氏による漫画『進撃の巨人』を題材にした、いわゆるファンアート作品です。
リプ欄には、「マーベルクオリティ」という声も寄せられましたが、実は投稿者の今川さんは、実際にマーベル作品も手がけている、カナダ在住のプロのCG/VFXクリエイター。
2019年にカナダに移住し、現在は『industrial light and magic』という会社で、ディズニー、マーベル、Netflixなどのプロジェクトの制作を担当。『スター・ウォーズ』の実写オリジナルドラマシリーズ『マンダロリアン』シーズン3では、惑星マンダロアの背景レイアウトやシェーダー、ライティングなどを担当。今は同シリーズの最新作『Ahsoka』の背景CGを制作中だという、20代の若きクリエイターです。
そんな世界的クリエイターである今川さんが、友人たちと趣味で作ったという『実写風 進撃の巨人』について、詳しくお話を伺いました。
ゲーム仲間と作ったハイレベル過ぎる「ファンアート」
ーー『実写風 進撃の巨人』は2年前の作品だそうですが、『進撃の巨人』を題材にした理由は…?
「『進撃の巨人』はアニメが放送された当時から見ていて、ストーリーもビジュアルも自分に刺さってどハマりしてしまったので、ファンアートとして映像を作ってしまいました。Twitterで多くの方の感想を見て、『進撃の巨人』という漫画は多くの方に愛されているのだなと改めて思いました」
同じメンツで実写風ファンアート『Apex Legends』も制作
ーー共作されたご友人、FX担当のShota KimuraさんとShunpei Yamashitaさん、アニメーション担当のYu Kojimaさんもカナダ在住なのですか?
「みんな同世代で、3人はカナダ在住、1人は日本在住で、毎日ゲームをして遊ぶような友人です。最初は自分1人で作っていたのですが、どんどん作りたいものが増えていき、1人では限界に近づいていたので、みんなに作業を手伝ってもらいました。全員、業界の最前線で活躍する優秀なアーティストです」
ーー実写風のファンアートとして、人気ゲーム『Apex Legends』の映画風トレイラーも制作されてるんですね。
「はい。同じメンバーで作りました」
ーー今川さんはカナダ在住ですが、CG/VFXの分野では、アメリカよりもカナダの方が利点が大きい…?
「アメリカに本社のある会社が多いですが、カナダに支社のある会社も多数あります。特に大手の会社はカナダ以外にもロンドン、オーストラリア、シンガポールなど、世界各地に支社があり、同じ作品を同時に制作していたりします。カナダはアメリカに比べて就労ビザが取りやすく、アジアの文化もあるため、日本人が住むにはとてもいい場所だと思います」
原作に忠実なこの映像美で初期シーズンから見たい!
世界の最前線で活躍する若きクリエイターたちが「趣味」で作り上げた、ハイレベル過ぎるファンアート『実写風 進撃の巨人』。『進撃の巨人』は公式アニメの他、2015年には実写映画版も公開されましたが、映画版はオリジナル設定が多く、不完全燃焼だった原作ファンも少なくなかったようです。
そんなことからも、「こういう超高クオリティーの、原作忠実再現のスーパーCGを望んでた…」「この映像美で初期シーズンから見直せるならぜひ見たい」と、『実写風 進撃の巨人』には、多くの原作ファンからの称賛と期待の声が寄せられました。
今川さんは現在、Twitterを通して自身が手がける作品の進展を随時ツイートしています。今後はチュートリアルの配信も投稿する予定だそうです。
■『スパイダーマン』『テネット』など錚々たる作品を手がける今川さんのARTSSTATION『Masashi Imagawa』