4日間飲まず食わず…側溝に閉じ込められていた子猫を救出 プロアニマルレスキュー隊が語った一部始終

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「4日前から側溝に猫が閉じ込められているようです。助けてください!」

3月中旬、こんなレスキュー依頼が長崎市の動物愛護団体「R&G長崎の保健所の命を救う会」に入りました。同団体の代表でプロアニマルレスキュー隊の浦川たつのりさんが急行したところ、現場は同市曙町の住宅街。共同住宅に通じる階段の脇に回ると、子猫が閉じ込められているという側溝がありました。

浦川さんによると、地元住民がごみ捨てに出た際に側溝の中から子猫の鳴き声が聞こえてきたとのこと。2つ開いていた側溝の穴をスマホのライトで照らしたところ、子猫がいることが分かりました。実は、4日ほど前から猫の鳴き声が聞こえていたものの、最初はどこから聞こえてくるのか分からなかったといいます。

ビクとも動かない…最終手段は側溝のふたを壊して救助へ 子猫はどうなった?

現場に駆け付けた浦川さんは、レスキューの際に側溝のふたを外そうとしましたが、ふたはセメントで固められて開けることができませんでした。すぐに側溝を管理している会社に連絡。許可を得た後、ノミとハンマーなどを使ってふたを壊すことになりました。

「側溝には長さ10センチほど、幅3センチほどの穴が二つ開いていましたが、猫が通れるほどの大きさではありませんでした。ふたを開けるしか手段はなく、最終的にふたを壊して助け出すことに。作業は10分から15分ほどで、猫が通れるくらいの穴が開きました。このほか猫が出てくるときにけがをしないように開いた部分を整えたり。さらに穴近くには捕獲器を設置し、その周りには誘導用のちゅ~るを配置して保護を試みる準備をしました」(浦川さん)

捕獲器の設置後、しばらく出てくる気配がなかったといいます。そこで浦川さんが車に自動撮影ができるトレイルカメラを取りに行こうとしたそのとき、穴から鳴き声が…子猫が顔を出しました。生後5、6カ月ほどのようだったといいます。

「現場で付けていたライトを一度消して出てくるのを待ちました。保護する側が見られてしまうと、出てきませんから。静かに見守っていると、子猫は頭を出してキョロキョロと周りの安全確認をしていました。安全だと分かったのか、数分も経たないうちに穴から出て去って行きました。けがもなかったようで、安心しましたね」(浦川さん)

側溝の中に閉じ込められていた子猫 どうやって入った?

無事に側溝から脱出できた子猫。ただ地元住民が鳴き声に気付いてから4日間ほどは飲まず食わずで側溝の中に閉じ込められていたといいます。そんな状況について、「階段の脇の側溝で気付きにくい場所だったので、今回はラッキーだったと思います」と浦川さん。また、側溝に子猫が入り込んでしまった原因は「側溝の中はパイプでつながっていたので、側溝に入れるような穴を見つけて入ってしまったのではないかと思います。ツルツルした素材の塩ビパイプだったので、入ったものの登れず中でさまよっていたのかもしれませんね」と説明します。

こうした側溝に閉じ込められる猫のレスキュー依頼は多いとか。今回、周囲には子猫の家族とみられる野良猫たちが見守っていたそうです。

最後に、浦川さんは「春は野良猫の出産ラッシュシーズン。これから側溝に誤って入り込んでしまうような事案も多発するかもしれませんので、見つけたらお近くの動物保護団体等に保護ができるかどうか確認してみてください」と話してくれました。

※後日、壊した側溝のふたは管理会社の許可のもと浦川さんが補修しました。

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