「遊んじゃってるの可愛くない?」狛犬の子犬が話題 「台座からはみ出てるの初めて見た」「匠の遊び心ってヤツですね」

太田 浩子 太田 浩子

 「狛犬の仔犬が下に降りて遊んじゃってるの可愛くない??」というツイートが話題になりました。神社の参道で、まるで狛犬の子犬同士が遊んでいるような写真をツイートしたのは、「パトポッポ(@flowertoman)」さんです。

 パトポッポさんによると、こちらの神社には大きな狛犬が別にいるそう。子犬は柴犬くらいのサイズで、石灯籠2基にそれぞれ2匹ずついるのですが、下をのぞいたり、石灯籠を登ろうとしたりと、かなりヤンチャな雰囲気。いたずらっ子みたいな顔で、とても楽しそうな表情をしています。

「めちゃめちゃかわいい!そうやって作ろうと思った人の感性が好き🤣」
「匠の遊び心ってヤツですね。素晴らしい。」
「台座からはみ出てるの初めて見ました!」
「無茶苦茶かわええ~♥何処ですか?遊び心が良いわぁ」
「これは会いに行きたくなりますね〜🥰」

ツイートには、7.3万の「いいね」がついています。

 狛犬の子犬がいるのは、千葉県袖ケ浦市にある「飽富(あきとみ)神社」です。石灯籠には「文久2年(1862年)」「石工金兵衛」と刻まれていたこともツイートしていたパトポッポさんに、詳しいお話を聞きました。

──最初にツイートされた写真は2022年に撮られたそうですが、こちらの子犬さんたちは以前からご存知だったのですか?

 はい。以前から故郷に可愛いらしい狛犬がいるとは母から聞いていて、なかなか見に行くタイミングが無かったのですが、去年の夏の帰省の折にようやく見ることができました。

──そうだったのですね。なぜ今年になってからツイートしようと思われたのでしょう。

 ツイッターのタイムラインにユニークで可愛い狛犬の写真が流れてきて、そういえば私も可愛い子を知ってるな…と思い出してツイートしました。

──戯れているみたいな姿が、本当に可愛いです。

 大きめの石段を上って鳥居をくぐってすぐ、左右に設置された石灯籠に2頭ずつ仔狛犬がいるのですが、まず左側の石灯籠の下でお尻を上にして下に降りようとしている仔狛犬を見つけて「可愛い!」としゃがみ込んで近くで観察してしまいました。石灯籠の上の仔狛犬を遊びに誘うようなポーズに見えて、すごくユーモアがあるなと。

──たしかにそんな風に見えます!

 今まで見てきたのはしっかり腰を据えてお座りして阿吽の顔相!(※)の狛犬だったので、4頭とも口を笑うように開けている表情も生き生き可愛いらしくて、今にも石灯籠から降りてきて4頭でころころ戯れ出しそうな躍動感に、石でこんなものが作れるのかと感激しました。

 昔飼っていたミックス犬が子犬だった頃、家族の靴を咥えて悪戯していた時の表情や、大きさもちょうど子犬サイズなので、持ち上げた時の毛の薄いお腹の体温を思い出してほっこりしました。

※阿吽の顔相:1対で置かれている狛犬は、右が口を開けている獅子(阿形)、左が口を閉じて角がある狛犬(吽形)とされています

──神社にはよく行かれるのですか?

 苔むしたものや長い年月そこにあるものが好きなので、機会や発見があればのんびり立ち寄るようにしています。

──今回は愛嬌いっぱいの狛犬が話題になりました。

 リツイートやリプライなどで、全国の地元の自慢の狛犬を沢山見ることができて眼福でした。また、飽富神社のある袖ケ浦市のゆるキャラのガウラくんのアカウントにリツイートしてもらったのには驚きました。

狛犬の子犬について、袖ケ浦市に聞きました

 飽富神社の問い合わせ先「千葉県袖ケ浦市生涯学習課」に、狛犬の子犬について聞きました。

──飽富神社の狛犬の子犬について教えてください。

 通常の狛犬は別にありますので、今回話題にされているのは「石灯籠の装飾」になります。想像になってしまうのですが、石灯籠を作るにあたって、お金も豊富にあって、遊び心のある装飾をつけたのではないかと考えられます。博物館の職員は、日光東照宮の眠り猫のような平和の象徴として、平和への願いを込めて装飾としてつけたのではないかと推測しています。

──ことわざ「獅子の子落とし」のように、獅子は子どもを谷底に落として、這い上がってきた子だけを育てるという言い伝えもあるようですね。

 石灯籠の狛犬は、親の狛犬もつけられていませんし、どちらかというと子どもの狛犬が戯れあって遊んでいるように感じます。

──飽富神社は、どのような神社なのですか?

 平安時代の「延喜式」という神社の台帳みたいなものに名前がある古くからある神社です。現在の社殿は元禄4年(1691年)に再建されて、1804年ごろに1度修理されています。

 1月14日の夜からおこなわれる「筒粥神事」は、県指定の無形民族文化財に指定されています。お粥を炊いて、葦で編んだ筒を入れてそこに入ったお粥の量によって穀物の作柄を占う神事です。古文書によると1700年代後半にはおこなわれていたようです。

狛犬マニアのミノシマタカコさん「発想がすてき」

 狛犬の知識や全国の魅力的な狛犬をわかりやすく解説しつつ、近くのお散歩スポットも紹介する書籍「狛犬さんぽ」の著者ミノシマタカコさんにもお話を聞きました。

──飽富神社の子犬をご覧になってどんなご感想を?

 写真で見ただけなのですが、私もかわいさにやられて該当のツイをリツイートしていまして…。あまりのかわいらしさに多くの人がキュンとしたのかなと思います。灯籠の下に獅子を飾った意匠はいくつか目にしたことがあるのですが、子ども獅子が台座周りを駆け回るという発想はすてきですよね。

──書籍で、親子狛犬が置かれている神社がわりとあることを知りました。

 獅子・狛犬のなかには、かわいい子ども獅子が親獅子のまわりでじゃれているものや、獅子の子落としを再現しているものもあり、キュンとする愛らしい子獅子がいっぱいいるので、いろんな神社でさがしてみてください。

■ミノシマタカコさんプロフィール
ライター・WEB編集者。狛犬愛好家。日本参道狛犬研究会会員、狛犬さんを愛でる会主催。狛犬好きが高じて、ライターとして狛犬取材記事を手がけた関係で、ラジオやメディア等にも出演。

■書籍「狛犬さんぽ」(Amazon) https://amzn.asia/d/icASZsO

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