サウナは我慢する場じゃない 会話を楽しむべし!正しく「ととのう」ための10のメソッドとは?

松田 義人 松田 義人

 

近年ブームになっているサウナ。サウナを題材にした漫画やドラマが人気を集め、2021年にはサウナ愛好家が好んで使う「ととのう」という言葉が『現代用語の基礎知識選2021ユーキャン新語・流行語大賞 』に選ばれました。サウナが多くの人々に知られるようになったというわけですが、しかし、サウナにおける「正しい楽しみ方」については、これまでそう多く語られることがありませんでした。

そんな中、サウナをとことん楽しむためのメソッドを紹介するという興味深い本が刊行されました。『「とことん楽しむサウナの世界」〜初心者から上級者まで、活用メソッド徹底解説〜』松永武・著(日本文芸社)という本です。

サウナは登山。初級者は低めの山から始めるべし

本書の著者・松永武さんは、風呂が好きすぎて脱サラした経歴を持つ方。5万点以上を試したバスグッズマニアで、温泉や銭湯、自宅のお風呂など、様々なお風呂の楽しみ方を日々探索しています。構想10年にして、極上のサウナ体験ができるテーマパーク『サーマルクライムスタジオ』を静岡県にオープンし、テレビ番組にも「識者」として出演するなど「お風呂のソムリエ」として知られています。

昨今のブームで多くの人がサウナを利用するようになりましたが、しかし、日本では昔から「我慢」を美徳とするようなところがあります。しかし、松永さんは「我慢」ではないサウナの楽しみ方を「10のメソッド」として提唱しています。ここではその例をピックアップし、松永さんの言葉をご紹介します。

【登山のように楽しむ】

「サウナは登山に似ています。初級者は低い山から始め、中級者や上級者になったらさらなる高みを目指す……これは体への負担の大きさや必要な時間と比例します。サウナの場合、初級者はひな壇の一番下の温度が低めの位置を選んで、時間も短めで入ってみます。 しかし中級、上級になるにつれて、より時間をかけて、より高みを目指します。 たとえば、高尾山に登るのとエベレストに登るのとでは、当然準備かが違います。先にどの山を登るのか決めておかなければなりません。
また、登山の目的もいろいろ。ご来光を拝むためなのか、秘湯に入るためなのか。あるいは新鮮な空気を吸ってリフレッシュしたいのか。目的によって登山コースやスケジュールも変わってくるでしょう。
(中略)サウナも、登山のようにプランやコースをたてましょう。 まずは自分の現在の体の状況を確認します。運動はしていますか?  疲れやすいですか?  冷えを感じますか?  精神的な状況はどうでしょうか。体が疲れやすいとか、脳が疲れやすいなど、そのときの状態によってコースが変わります。心と体のバランスを大切にしながら登っていきましょう。また、そもそ もサウナが苦手かもしれない、あるいは高齢者なので不安があるという人は、負担の少ないコースを考えます。登山と同様に、サウナも無理は禁物です」(松永さん)

サウナで会話をするべし! その真意とは?

 

また、本書にある松永さんが提唱するサウナメソッドには、他にも気になるものがありました。たとえば画像の「松永式サウナを楽しむ十ヶ条」の中の「サウナで会話をするべし!」は、どのような意味なのでしょうか? サウナではストイックに「会話などしてはいけない」と思っていましたが、松永さんによると、そうではないようです。

【コミュニケーションを楽しむ】

「サウナの本場フィンランドでは『サウナ外交』という言葉があるほど、サウナは社交の場でもあります。日本でも『裸のつき合い』という言葉がありますよね。この『裸』というのは、服を着ていないことを示しているだけでなく、肩書きなどの社会的な地位を表す物を身につけていないことを示します。 サウナに入ったら、上下関係や外での立場を忘れ、非日常体験を一緒に楽しむ仲間として接するとよいでしょう。気さくに話をしていた男性が、実は大企業の役員だった、なんてこともよくあります。 ただ、施設によっては黙浴をルールにしている場合があります。また、サウナに入っているときは一人で瞑想していたい、という人もいますので、やたらめったらと話しかけないように注意しましょう」(松永さん)

コロナ禍になり、サウナの中で話をすることが難しい時期もありました。現在も引き続き「黙浴」をルールにしている施設も確かにあります。
しかし、「サウナの中で、他者とのコミュニケーションをとることも楽しみの一つだ」と考えると、確かに前述のような「我慢」とはまた違う喜びを見出せるようにも思いました。

すぐにでも実践できる「極上のサウナ体験」が詰まっている

本書には、ここでは書ききれないほどの「サウナメソッド」がいくつも紹介されています。また、サウナに期待できる体と心への効果などももちろんあり、あらゆる側面からサウナを見つめた一冊と言って良いでしょう。

担当編集者によれば、松永さんが提唱する「サウナメソッド」は何度も修正を重ねながら本書を完成まで導いたそうです。そうして作られた本であるからこそ、タイトルのとおり、「とことんサウナを楽しむための一冊」として編まれているのだと感じました。本書への思いを聞きました。

「本書は難しいことが書いてあるわけでも、高度なことが書いてあるわけでもありません。誰もが実践可能な、それでいて楽しく快適なことを勧めているだけです。気軽な気持ちで手に取っていただき、皆さんを『極上のサウナ体験』にご案内できれば嬉しいです」(担当編集者)

これまでのサウナに対する概念が変わるような、これからのサウナライフがもっと自由になりそうな、そんなヒントをたくさん与えてくれる本でした。

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