淡路島の伝統文化とアートの魅力を満喫できる体験型の美術館が注目を集めている。
「土のミュージアム SHIDO(シド)」は淡路島の西岸、多賀の浜海水浴場や伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)で知られる淡路市多賀の中心部に1月27日オープンした。
総工費は約1億円。土塗りの土台に全面ガラス張りの前衛的な外観と、淡路島伝統の左官技術で仕上げられた土壁、土間風の床といった内装は周囲の風景の中で異彩を放っている。
ここではこれまでに気鋭アーティスト達による現代アート展や壁塗りなど左官体験のワークショップを実施。瀬戸内海や多賀の浜海水浴場を一望できる展望デッキもあわせ、淡路島の新たな観光スポットとしてにわかに注目を集めているのだ。
「土のミュージアム SHIDO」を運営する建築資材メーカー、近畿壁材工業株式会社代表の浜岡淳二さんにお話を聞いた。
弊社は1912年に淡路土など色土の製造、販売会社として創業しました。淡路島は島内でさまざまな色味、質感の土が採取できることから、古くより淡路瓦や陶芸、タイル、左官といった土に関する多様な産業が存在します。今回のミュージアム設立の狙いは、そういった淡路島の"土"の魅力を多くの方に知っていただくことです。
「SHIDO(しど)」という名前は「漆喰」と「土壁」から来ています。内装は私の高校時代の同学年で、今や国際的に活躍する左官職人、久住有生さんに依頼しました。セミナー等で座席に使える階段は山からそのまま削り出したようなイメージ。ひび割れた壁は干上がった田んぼのイメージです。土の魅力を最大限に引き出しつつも、古臭くなく、むしろ斬新でお洒落な空間に仕上がっているのではと思います。ここで今後、さまざまなアートイベントを催し、全国に淡路島のカルチャーを発信していきたいです。
また、淡路島は近年、カフェやレストランは増えてきましたが、観光客が積極的に何か体験できるような施設がまだまだ足りません。当ミュージアムではそういった課題に積極的に取り組み、今後、アート体験ができるカフェコーナーを併設するなど、淡路島を訪れていただいた方にしっかりとこの土地の魅力を伝えていきたいと思います。
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淡路島は海あり山あり温泉やグルメもありと、これからの行楽シーズンにうってつけの観光スポット。訪れる方はぜひ淡路島の文化がたっぷり味わえる「土のミュージアム SHIDO(シド)」も散策の選択肢に加えていただきたい。
土のミュージアム SHIDO
近畿壁材工業株式会社
〒656-1521 兵庫県淡路市多賀2150
公式ホームぺージ:https://shido.kinkikabezai.com/