買い物やトイレ「ちょっとだけ待っててね」子を置いて離れた一瞬が最悪の事態招くことも…3児の母が伝えたかったこと

伊藤 大介 伊藤 大介

車や建物に置き去りにされた子どもが命を落とす痛ましい出来事が続いています。漫画家の魚田コットン(@33kossan33)さんは「どうかお願いがあります」と幼児の置き去りについて漫画を描きました。

3児の母として幼い子どもを連れて歩く大変さに理解を示しつつ、自身が目撃した車や商業施設トイレ前での幼児置き去りについて、「ほんの少しの間でもお子さんを連れて行ってあげてください…!」と求めています。魚田さんに聞きました。

連れて行く大変さ分かる。でも…

魚田さんはエッセイ漫画家で、「家族、辞めてもいいですか?」(KADOKAWA)、「母の再婚相手を殺したかった 性的虐待を受けた10年間の記録」(竹書房)という著作があります。

中学1年生と小学6年生、小学1年生の子どもがいる3児の母でもあります。「上の子2人は年子だったので、小さいころは大変でした」と子育てに忙殺された日々を振り返ります。

ーー幼児置き去りの漫画を描いたきっかけについて教えてください。

「知り合いの夫婦がドラッグストアで買い物中、3歳と1歳くらいの乳幼児2人を車に残していたことがありました。たまたま見かけたのではなく、同じ夫婦が3回くらい置き去りにしている場面に出くわしました。何とも言えない気持ちで見送りました」

ーー商業施設のトイレ前で置き去りにされた女児についても描かれています。

「3~4歳くらいの女の子が1人でカートに残されていました。心配になって、そばで様子を見守りました。大体の場合、お母さんがすぐに戻ってきてくれますが、『万が一なにかあったら…』と思ってしまいました」

ーー3歳の女の子がスーパーの障害者用トイレに連れ込まれ、男に殺される痛ましい事件も起きています。

「その事件は念頭にありました。私も3人の子育てをしてきて、育児の大変さはよくわかります。ちょっとコンビニに寄る時、子どもたちを置いていきたい気持ちにもなります。でも、置いていって万が一なにかあったら…と思うと、連れていくしかなかったです。

連れて行く大変さと命を天秤にかけたら、やっぱり命のほうが大事なんじゃないかと思うんです」

熱中症、交通事故、変質者…置き去りにはリスクが

漫画には反論、異論も届きました。「(置き去りにするのが)やむを得ない時もある」「コンビニに寄った時、2、3分置いていったことがある」と「置いていくのもやむなし」というコメントも寄せられました。

魚田さんは「本当は連れて行ってほしいのですが、コンビニのように子どもが目に見える距離にいて、数分で戻れるなら(置いていっても)いいと思うんです」と理解を示しつつ、「今回私が描いたのは、ドラッグストアや商業施設のような、親から完全に見えなくなる場所に子どもを置き去りにした状況でのことです」と説明します。

「車に置いて行ってしまうと、熱中症のリスクだけでなく、子どもがドアを開けて外へ飛び出したり、変質者などが車中に入ってくる恐れもあります」

漫画では「置き去りにするな」と強い口調で訴えるのではなく、「どうかお願いがあります…」と呼びかけました。

「私の考えが正義だとは思っていません。子どもを連れていくかどうかは、それぞれの家庭の考え方次第です。だから、お願いする漫画にしました」

魚田さんは車や商業施設で置き去りにされた乳幼児を見かけると、さりげなく見守っているといいます。

短時間の放置なら、わいせつ目的の変質者に狙われたり、熱中症にかかる確率は低いのかもしれません。でも、万が一の事態が起きたとき、取り返しがつかない可能性があります。心の琴線に触れた方は、魚田さんの漫画を読んでみてください。

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