迷子犬として収容され殺処分寸前だったミックス犬 人になでられるのが大好き 新しい飼い主さんと幸せつかむよ

松田 義人 松田 義人

 

2022年9月、茨城の動物愛護センターから保護された推定5歳のミックス犬・かなとくん。茨城県動物指導センターに迷子犬として収容されましたが、飼い主のお迎えはなく、殺処分寸前まで行ったワンコです。当のかなとくん自身は、ほんの少し前まで飼われていたかのような明るさで、人懐っこくニコニコしながら寄ってきます。現実とワンコの表情のギャップに、保護団体のスタッフは心を痛めました。

他のワンコとの交流は苦手だけど、人間は大好き

 

かなとくんを保護したのは、保護団体・NPO法人アルマでした。同団体と協働するアルマ東京ティアハイム(以下、アルマ)という動物保護シェルターで暮らすことになりました。

かなとくんと接し、アルマのスタッフが感じたことは「他のワンコとの交流は苦手だけど、いつもニコニコでとにかく人懐っこいワンコだな」というところ。持病は、引き出し時にあった発咳、そしてアレルギーらしきもの。この持病は確かに心配ですが、かなとくんのもともとの性格はすこぶる良く、そのイケワン(イケメン)ぶりと相まって、アルマではすぐに人気ワンコの仲間入りをしました。

かなとくんの持病の治療と去勢手術も実施

ただし、発咳とは心配です。このため、しばらくの間、かなとくんの散歩は控えていたのですが、どうしてもかなとくんが散歩に行きたがるので、スタッフが連れ出し様子を見てみることにしました。

この時点では、去勢前だったかなとくんは、マーキングとクン活(お散歩中に地面の匂いを嗅ぐこと)を頻繁に行います。「そんなにアレコレ動いたら、また発咳するんじゃないか」と心配になるスタッフでしたが、ハーネスにテンションをかけ、ゆっくりと歩けば咳は出ないことがわかりました。しかし、ひとたび咳をし出すと、しばらくの間、止まらなくなるため、やはり細心の注意をはらう必要性も感じました。

後に、かなとくんの咳の原因は、フィラリア陽性に起因するアレルギー反応ではないかという診断を受けました。心臓には大きな問題はなさそうですが、後に気管支拡張薬の投薬と、フィラリアを治療し、さらに去勢手術も行うことにしました。

なぜか写真撮影を嫌がる

さて、性格的にはいっさい問題のないかなとくんでしたが、どういうわけか「写真を撮らせたがらない」という謎めいた行動をとることもありました。人間が写真を撮影しようとすると、顔を背けてしまうのです。かなとくんが大好きなオヤツで気を引こうとアルマのスタッフが試してみますが、今度は後ろ向きで座ってしまう始末。かなとくんの散歩中のいい写真を撮るのはかなり難しいです。

結果、撮影をいったんヤメ、スタッフはいつも通り散歩をしました。かなとくんも安心したのか、リラックスしてクン活(お散歩中に地面の匂いを嗅ぐこと)をし始めました。そのクン活で油断したところをパチリ。やっとかなとくんのかわいい写真を撮ることができました。

 

大好きな散歩以上に、楽しく幸せな生活へ

アルマでは、保護犬と里親希望者さんとをマッチングさせるため、積極的にオープンシェルターや譲渡につなげる里親会を実施しています。そういった場でもイケワンのかなとくんは人気者でした。やがて、かなとくんとピッタリの優しい里親希望者さんと出会い、トライアル期間を経て、見事この方のお家で第2の犬生を掴むことができました。

アルマを卒業する日、出発の準備をスタッフが始めると、かなとくんは「散歩に行くの?」と嬉しそうにしていましたが、かなとくんにとっては、この日からアルマでの散歩以上に、楽しく幸せな新しい生活が始まることになりました。

オモチャで遊ぶことはもちろん、何より撫でてもらうことと、オヤツを食べることが大好きなかなとくん。これまでは他のワンコと順番待ちをして撫でてもらったり、オヤツをもらっていましたが、これからは順番待ちをしないで、思う存分甘えられます。

かなとくんにとっても、迎え入れてくれた家族にとっても、楽しく幸せいっぱいの生活がずっと続いてくれることを願うばかりです。

 アルマ東京ティアハイム/NPO法人アルマ
http://alma.or.jp/

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