「旅の恥はかき捨て…ではありません!」現役警察官が捨て身で迷惑行為を再現したわけ 観光地の笑えない実態

金井 かおる 金井 かおる

 「旅の恥はかき捨て…ではありません!」ーー大分県警察の公式ツイッターの投稿が話題です。

 「現在、湯布院はたくさんの観光客でにぎわっています。しかし、道路上や線路内に立ち入っての写真撮影、車道にはみ出しての歩行等危険な行為も散見されます。旅先でこそ、マナー、モラルを守り安全で楽しい旅を!」(大分県警察公式ツイッターより)

 ダメな例として、現役警察官がモデルを務め、車道や線路内に立ち入る様子を合成写真で再現。ユーザーからは「こんなふうに写真を撮る人、本当によく見かけます」「車道に出て写真を撮る観光客多いですね」「雑な合成写真だけどわかりやすい」「全国で言えることですね」などの反応が寄せられています。

人身事故に至る危険性…法律違反の疑いも

 大分県警察の担当者に話を聞きました。

──ツイッターに投稿した理由は。

「昨年秋の入国規制緩和以降、観光客が一気に増加し、外国の方もたくさん湯布院町を訪れるようになりました。そのような状況の中、外国人だけでなく、日本人を含め、道路にはみ出て歩行する方や道路上での記念写真撮影等の姿を頻繁に見かけるようになりました。湯布院町は狭い道が多く、また、道路事情等をよく把握していない観光客の運転する車が増加したことにより、交通事故等への危険性を感じるようになっていたことがきっかけです」

──道路上や線路内に立ち入っての写真撮影は、どんな危険があり、どんな罪になるのか。

「危険性については、道路、線路とも人身事故に至る危険性があります。せっかく旅行、観光に来たのに、事故にあってしまえば、残念な思い出しか残らなくなってしまいます。罪については、道路~道路交通法第76条第4項第2号(道路における禁止行為)線路~鉄道営業法第37条(鉄道地内立入りの罪)と軽犯罪法第1条32号(田畑等侵入の罪)の観念的競合に該当する可能性があります」

【道路交通法第76条第4項第2号】
道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しゃがみ 又は立ち止まっていること~罰金5万円以下
【鉄道営業法第37条(鉄道地内立入りの罪)】
停車場その他鉄道地内に妄に立入りたる者~10円以下の科料
※罰金等臨時措置法第2条3項により、1万円未満の科料となる。
※鉄道営業法の条文は、原文はカタカナ表記。
【軽犯罪法第1条32号(田畑等侵入の罪)】 
入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者~拘留又は科料

棚橋弘至選手も反応!なぜ?

 今回のツイッターを作成、投稿したのは、湯布院を管轄する大分南警察署湯布院幹部交番の警察官。1人で何パターンもポーズも取り、撮影、合成加工しました。警察官の作った加工写真のゆるさ加減も注目を集め、投稿から5日でリツイート数は3千、いいねの数は8千を超えています。

 担当者は反響の大きさに対し「ツイッター画面での表示回数、リツイート、いいねの数字がどんどん上がる状況に、多少狙っていた気持ちはあったものの、予想以上に数字が伸び、『炎上しないだろうか?』と一瞬怖くなりました」と胸の内を明かしました。

 注目されたもう一つの理由はプロレスファンの存在です。というのも、記念撮影シーンを再現する際、さりげなく人気プロレスラーの決めポーズを取り入れたから。目ざといプロレスファンらは「考案者は新日本プロレスのファンですか?」「プロレス好きなんですね」「新日ファンはマナーあるので安心してください」「この発想好きです」「よく見るポーズが3つも」など盛り上がりを見せています。

 担当者は「私の好きなプロレスのポーズを仕込んだがゆえに、プロレスファンから反感を買うのではという心配も少しありましたが、ツイッターに寄せられたコメントを読んでみると、ほとんどの人が好意的に受け入れて下さってるようなので安心しています。何よりポーズを使わせてもらった、新日本プロレスの棚橋弘至選手もリツイートしてくれており、感激しています」とひと安心した様子でした。

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