「弁当の寿司の箸、もらい忘れた!」→即席の箸を作って解決「これぞ生きる力」「天才感ある」

山本 明 山本 明

 「寿司買って新幹線に乗り込んでから箸もらうの忘れたことに気づいて絶望してたけど、」というひと言で始まるツイートが話題を呼びました。一緒に投稿された写真には「あるもの」で作った手製の箸を使ってお寿司を食べる様子が写されています。投稿した人に詳しい話を聞きました。

 ツイートには「常備していたA4用紙と幼少期に培った技術を駆使してどうにか助かった。糊付けは一粒のシャリ。これぞ生きる力。」と続いています。紙を細く巻いて棒状にすることで箸の代わりにしたとっさの機転と問題解決能力の高さに「諦めて手を使うのではなく、創意工夫して箸を創造するの天才感ある」「素晴らしい工夫!ほんと、これぞ生きる力ですね」と、賛辞の声が集まりました。

 お手製の紙の箸を披露してくれたのは「きしもとたかひろ」(@1kani1dai)さんといい、普段は保育士および放課後児童支援員(学童の支援員)として保育関係のツイートをテキストとイラストで投稿しています。今回の反響に「うっかりミスについてのツイートだったので、同じようにもらい忘れて困った経験がある人が多くいることが嬉しかったです」と喜ぶきしもとさんに、紙の箸を作った経緯をお聞きしました。

諦めかけたときに紙の箸のアイディアが浮かんだ

――A4の紙を常備なさっていた理由を教えてください。

イラストやメモを書くために、普段から持っているのです。

――すぐに紙で箸を作ることを思いついたのですか?

すぐには思いつかず、箸や代わりになるものを探したりして何分か考えてから諦めかけたときに思いついたものです。

――「幼少期に培った技術」とは?

幼少期に培った技術、というのは大げさに表現しているだけで、実際は子どもの頃に広告を細く丸めてチャンバラの剣にして遊んでいたものです!

「紙クルクルは『認知能力』、寿司を諦めない力や工夫して解決する力が『非認知能力』」

 さらに保育の専門家であるきしもとさんは「紙クルクルは『認知能力』で、寿司を諦めない力や工夫して解決する力が『非認知能力』と言われていて、この『非認知能力』は幼少期からひとりの人として大切にされながら育まれていきます。と、むりやり保育の話に繋げてみる」ともリプライでツイート。この二つの能力の具体例やちがいについてもお話ししていただきました。

「具体的にテストなどで目に見える技術や学力などを『認知能力』といって、これはいわゆる学校で身につける読み書き計算などのことですよね」

「これらももちろん生きるうえで大切ですが、保育や幼児教育では、物の見方や考え方、取り組み方や姿勢など、『目に見えない能力(非認知能力)』が生きていく上で大切だとされています」

「それらは、学校などの教科教育ではなく、生活のなかでひとりの人として大切にされる環境の中で自分の考えや意見が尊重されることで養われます。好奇心の赴くままに夢中になったり、失敗して助けてもらったりするなど様々な経験をするなかから身についていくと言われています。目に見えないので具体的にと言われたら難しいんですが、まさに今回のよう諦めずに工夫して問題解決に導く力もその一つだと思います。おおげさでしょうか」(以上きしもとさん)

◇ ◇

 「おおげさでしょうか」と問いかけるきしもとさんですが、どんなことでも正解は一つではない、という認識を持っていることは生きづらさを軽減させ、この世界を自分らしく生きていくことの助けとなってくれるのかもしれませんね。

【きしもとたかひろさんプロフィール】
保育士および放課後児童支援員(学童の支援員)。保育の仕事に携わる中で得た気づきをSNSにて発信中。可愛らしいイラストとわかりやすいテキストにて投稿されるツイートからは親子双方がむりせずのびのびと成長できるありかたを目指す姿勢が感じられ、多くの共感を呼んでいる。また保育士の傍ら保育エッセイや漫画の執筆活動にも従事し、現在2冊の本を刊行中。

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