あまたある断捨離本、片づけ本の多くは、「モノを捨てることで幸運を呼び寄せよう」というものが多いですが、しかし、その前に「モノを捨てる」ということがそもそも苦手な人も多く、そのハードルは意外と高く感じる人もいるかもしれません。結果、「モノを捨てる」ばかりか、「断捨離本、片づけ本ばかりが増えてしまった」という皮肉な状況に陥っている人もいるとかいないとか……。
そんな中、「断捨離」「片づけ」の、さらに手前にある「モノを捨てる上での心理面、想像力」を特に優しく紹介した本が刊行されました。『望み通りの人生を手に入れる 片づけ大全』山田ヒロミ・著(光文社)という本です。
片づけ前・片づけ中にすべき思考と行動とは?
本書は片づけ本としては、結構分厚い全240ページ。
それもそのはず、「収納スペースの片づけ方」「部屋の片づけ方」「快適な部屋づくりのポイント」といった実用的なメソッドの紹介に加え、「片づけにおける心の持ち方」「心理学的片づけ法則」といったものを優しく、そして細やかに紹介しているからです。
特に興味深いのが、この「片づけにおける心の持ち方」で、冒頭でも触れたような「捨てたいけれど、なかなか捨てられない」人への応援として「心の持ち方」です。本書によれば、「モノを捨てる」にあたって、以下を意識的に行うことで、100%「片づけ」は成功すると説いています。
● 片づけの前に深呼吸する
● マルチタスクをシングルタスクにする
● 部屋の「空気量」を多くする
● 収納計画表で片づけのリハーサルをする
● 「25分やって、5分休憩」のサイクルで行う
● ふだん使っていない「8割」のモノに注目する
● モノを手放す時は「ゆるします、ゆるします、ゆるします」と3回唱える
『いつか片づけよう』『今すぐ片づけよう』どちらを選ぶ?
これら、ある種の「儀式的なこと」を実践することで、「モノを捨てるハードル」を下げるだけなく、気持ち良くポイポイ捨てられ、部屋のみならず心にもゆとりができて、最終的には希望通りの人生さえも掴むことができるのだ、としています。
あまたある片づけ本と比べ、より「捨てられない」読者の目線に立つかのような筆致が優しく、読んでいるだけで癒されるような内容でもありますが、聞けば、著者で心理カウンセラー・インテリア設計士の山田ヒロミさん自身も、10代前半まで「捨てられない人」だったと言います。
「実は私も10代の前半までは、片づけを苦手にしていました。そもそも片づけ方を知らず、それを教えてくれる人もいませんでした。しかし、ある時、『片づけにはちゃんとした方法がある』ということに気づいたのです。
本書では誰も教えてくれなかった、散らかる原因そのものをなくす方法をお伝えします。この通りにできれば、二度と散らかることはありません。『この方法を知らなかったから、いつまで経っても片づかなかったのだ』ということに気づいていただけるでしょう。
『いつか、こうなったら片づけよう』と思い続ける人生と、今すぐすっきり片づけて望み通りに生きる人生と、あなたはどっちを選びますか? 言うまでもなく、今すぐすっきり片づけて望み通りに生きる人生ですよね。
この本は、そんな人生を送りたいあなたのために書きました」(山田ヒロミさん)
「ゆるします」を3回繰り返すことで「捨てる」罪悪感がなくなる
こういった著者の思いを、わかりやすく編集した担当編集者自身もまた、かつては「捨てられない人」だったと言います。
「片づけに関する色々な工程のなかで、一番難関とも言えるのが『モノを捨てる』作業です。思い出のあるモノ、大切な人にもらったモノなどは、なかなか捨てることができません。でも、そのままにしておくと、部屋の空きスペースがどんどんなくなってしまう……。
私自身、片づけが苦手なので、編集作業中は『こうすればいいんだ!』と思うことが多く、とても勉強になりました。
なかでも『片づけはモチベーションありき』ということに気づくことができたのは大きいですね。いったんエンジンがかかると、あとは自然に体が動いていく。最近は自ら率先して家の片づけをすることが増え、家族から不思議がられるようになりました(笑)」(担当編集者)
ところで、前述の儀式に対して、特に気になったのが「ゆるします、ゆるします、ゆるします」の3回の唱え。どこか「おまじまない」のようにも感じられる唱えですが、最後に担当編集者に解説してもらいました。
「なぜ『ゆるします』を3回繰り返すのかというと、そのモノの持ち主である自分、モノを贈ってくれた人、モノやそれにまつわる出来事や思い出、これら3つに対し向ける言葉だからです。
これで、モノに染みついた『自分の感情』が、モノから切り離され、モノ単体に戻ることができます。『ゆるします』は漢字の『許します』ではなく、平仮名をイメージして口にすると、自分の心が癒やされます。涙とともに、爽やかな感動を味わうこともできます。
本書は、『モノを捨てる』上での罪悪感や後ろめたさを感じなくてすむような片づけ法が満載です。是非ご覧いただければ幸いです」(担当編集者)