1人たたずむスタッフの写真とともに、「1月10日10:00 入館者0人 ダレカキテ・・・」。投稿したのは「鶴岡市立加茂水族館」(@JELLYFISHAQ)のTwitterアカウント(以下、加茂水族館)です。その後についてお話を聞きました。
山形県鶴岡市にある鶴岡市立加茂水族館は、クラゲの展示や繁殖で有数の水族館。しかし、ツイートした1月10日は天候が良くなかったせいか、午前10時の時点で水族館を訪れる人はいなかったようです(開館時間は午前9時)。投稿された写真には、ミズクラゲの成長過程を観察できる「クラゲ栽培センター」にて、トークイベント「くらげのおはなし」に挑む気満々だった1人ポツンといる男性スタッフが写っていました。
ツイートを見た人からは「素晴らしい場所です!! また行きたいな」「ぜひみなさん山形に来たら一度行ってみてください(*´ω`*) クラゲ以外にも見所はたくさんありますよ!」など、たくさんの人から温かな声援が送られていました。「ツイート見て先程行ってきました 寒くて荒れる日本海沿岸に佇む今日の加茂水族館でしたが、お魚達やクラゲ達を見て心がほっこりしました お客さんが少なかったですが、ゆっくり見ることができました」という人までいました。
しかし、「5年半前の夏休みに伺いました。行けるものならいつでも行きたい!けれど気軽に行けない距離なのがツラい。必ずまた行きたいです」など、行きたいけれど季節やアクセスがハードルになっているというコメントもあり、加茂水族館は同日午後11時に、コロナや雪の影響で来館できない人に向けて、毎週土曜日に一晩中クラゲの映像が配信される「オールナイトカモスイ」を紹介。
「知らなかった…素敵すぎる今週から見る」「ずっと見ていたい」などのコメントが寄せられた結果、前週の1月7日は2077回視聴だったところ、1月14日はその約4倍にもなる1万回以上視聴されるという、うれしい反響もありました。
1万数千匹のクラゲを飼育する水族館、コロナで入館者が半分以下に
また今回の悲痛なツイートの翌日である11日は見事、お客様が朝から来館。「ツイートを見て、息子と娘を連れてクラゲのおはなし聞きに行きました! まだ2歳ですが、なんとか座って聞いてくれました。また帰省した際にお邪魔します」という、行動力ある心やさしい方も。投稿した加茂水族館のクラゲの飼育担当の池田さんに、入館者が少ないときの様子や、「オールナイトカモスイ」について聞きました。
――入館者数にどれくらいコロナが影響していますか。
「コロナ前は入館者数は年間50万人(平均月約4万人)でした。ただ、コロナ禍においては年間20万人(平均月約1.6万人)ほどに落ち込み、今年度は現在30万人(平均月約3万人)ほど。ただ、これまで入館者が1日で0人というのはありません」
――冬は特に入館者数が落ち込む?
「今年度の冬期以外は最も多い時で月約5万人でしたが、冬期は先月だと月約1.4万人、今月はまだ約5000人ほどです」
――入館者数が少ないとき、スタッフはどのように過ごすのですか。
「生物を扱う仕事のため、入館者の方が少なくても私たち飼育員の仕事内容は変わりません。主に1日中生物の飼育をして過ごします。ただ、今回のように『クラゲのおはなし』のイベント時に入館者が0人の場合は、イベントを中止して他の飼育作業をします」
――クラゲの映像を配信する「オールナイトカモスイ」の人気の動画や、視聴者が増える時間帯について教えてください。
「水槽のクラゲを毎週土曜日に一晩中生配信するオールナイトカモスイですが、主に「ベニクラゲ」や「ミズクラゲ」という種類のクラゲの動画が人気があります。また、一晩中配信するので、就寝する時間が近い21時以降に視聴者が増える傾向にあると思います」
――「常時60種以上ものクラゲを展示」されているそうですが、水族館全体で何種類、約何匹のクラゲがいますか。
「現在当館では約80種類前後のクラゲを展示しています。クラゲは寿命が短いため、日によって種類数や数の増減が激しいです。正確に何匹とは難しく数も正確に数えてはいないのですが、直径5mの水槽(通称:クラゲドリームシアター)で1万匹以上、その他数千匹以上となります」
――水族館のおすすめのポイントを教えてください。
「加茂水族館はクラゲの展示種類数が世界一です。館内にクラゲの研究所があり、繁殖や研究に力を入れています。クラゲドリームシアターには1万匹以上のミズクラゲ達を展示しています。また、見たことないような貴重なクラゲも多数展示しています。クラゲだけでなく、庄内浜で見られる魚類やアシカ、アザラシも展示していますので、家族で楽しめます。山形県に来た際はぜひご来館してください」
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加茂水族館では3月31日までの期間は小中学生の入館料が無料。バックヤードツアーやクラゲのおはなし、音楽の夕べなどのクラゲ水槽前での音楽コンサートイベントも開催されています。毎週土曜日開催の「オールナイトカモスイ」では、約11時間55分も朝までクラゲの映像を生配信。生配信時のスパチャ(投げ銭)は全額クラゲの餌代になるとのこと。2020年からの過去分の映像も視聴できます。お気に入りのクラゲの動画を何度も見るという楽しみ方もでき、「子どもの寝かしつけに最適」「癒やされました」と好評です。
また、行きたいけれど行けないという方は、水族館のオンラインショップ「海月灯りオンラインショップ」でグッズを購入して応援することもできます。飼育係がリアルさを追求したぬいぐるみなど、「飼育員の暴走シリーズ」という個性的なグッズにも注目です。
■鶴岡市立加茂水族館
山形県鶴岡市今泉字大久保657番地1
開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:00)・年中無休
入館料:一般1000円、小・中学生500円、幼児無料(2022年12月〜2023年3月31日は小中学生の入館料は無料)
■鶴岡市立加茂水族館 https://kamo-kurage.jp/
■YouTube「加茂水族館公式チャンネル」 https://www.youtube.com/channel/UCBaecD-r5iwKiqkMngdPN4w
■鶴岡市立加茂水族館(@JELLYFISHAQ)のTwitter https://twitter.com/JELLYFISHAQ
■海月灯りオンラインショップ https://kamo-aquarium.stores.jp/