「お前の仕事は誰がするんだ?」育休取得を渋る上司を覆した元国家公務員男性の“ひと言”が話題 「至極当たり前な返しで素晴らしい」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「二人目の出産に伴い
『奥さんのご両親は子供達の面倒をみてくれないのか?』と聞かれたので『子供の面倒をみるのは親の仕事です』と返答すると
『お前の仕事は誰がするんだ?』と聞かれ『それを考えるのは上司の仕事です』と答え今に至る。全く後悔してません」

元国家公務員の男性が、現役時代に育児休業(以下、育休)を取る際の上司とのやり取りをTwitterに投稿したところ、話題を集めました。

投稿したのは、「専業パパ」さん(@senngyoupapa)。2年半ほど前に20年勤めた国家公務員を退職し、現在は専業主夫として、家事や育児に大忙しな日々を送っているといいますが…今回退職する2年前に奥さんが2人目を出産した際、育休取得の希望を上司に相談したときのことを振り返ってつぶやいたとか。

当時、育休取得のお願いをする専業パパさんに「奥さんのご両親は子供達の面倒をみてくれないのか?」などと、上司は渋ったとのこと。そこで「子供の面倒をみるのは親の仕事です」と訴えたという専業パパさん。上司からは「お前の仕事は誰がするんだ?」とまで言い返されたものの、「それを考えるのは上司の仕事です」と突っぱね、最終的に育児休業を取得することができたといいます。

「奥さんの両親が近くに住んでいるのになぜ育休が必要か」

「全く同じことを主人が言われました。『奥さんの両親が近くに住んでいるのになぜ育休が必要か』それなりの理由をつけて(嘘は付いていません)育休取得に至りましたが、本来なら理由なんていらないですよね? 有給を使うのに理由がいらないのと同じかと…」
「全くその通りだけど、生活費とか考えて多くの人はリアルでは言えないと思う。言われたパパさんはすごいし、そういうかたが社会を変えてくれると思う。ありがとうございます」
「至極当たり前な返しで素晴らしいです。それにしても育休制度の意味とは…」
「私も全く同じ状況(2人目の出産に合わせて育休中)で、取得しようと上司に相談した時に全く同じやりとりをしました。ちなみに、某市役所の健康福祉部(子育て担当部署)です。自分の子どもじゃないと、想像力が下がるのかな、、、」
「最近産後パパ育休を取得しました。とって良かったです。何一つ間違えていないと思いますし、育児を楽しんでください。われわれは働くために生きているのではなく生きるために働いています」

投稿には、「全く同じことを主人が言われた」と共感する声や育休制度の在り方に疑問を投じるコメントなどが多数寄せられています。そんな注目を集めた専業パパさん。公務員時代に育休を取得したときのことや退職して専業主夫となった理由などを聞いてみました。

渋々了解した上司、出産直後の育休を取得できたが・・・希望の1年間とはならず3カ月程度 

――国家公務員時代、職場の上司に男性が育休取得をお願いするのも大変だったようですね。

「この上司とは困難な仕事をたくさんこなしてきましたので、お互いの腹の中(考え方)は良く分かっていた仲だったと思っています。『それを考えるのは上司の仕事です』に対しての上司の反応は口頭で『…了解』とだけ悔し寂しそうに言っただけでした。私としては前々から相談していた案件なのにもかかわらず、なかなか取り合ってもらえなかったので、正直嫌気がさしていました」

――とはいえ、最終的に育休は取得できたのですね。

「結果的に育児休業は取得できましたが、私の希望の平成30年の11月から1年間とはならず。同年12月15日から翌年31年3月24日までとなりました。相談後の上司の対応(態度)については、休業取得までの数カ月間は相当な業務負荷をかけられました。はたから見ても明らかに嫌がらせだったのではないかと思います。同僚や後輩もそう感じたと言っていましたし。ことあるごとに面倒な仕事は私にふられていましたから…唯一の救いは、上司以外の同僚や後輩たちは私の育休取得を応援してくれていたことです。ただ、休業取得後の職場復帰は全く経験したことのない業務の別の部署でした」

――男性も育休を取得するべきと考える理由とは?

「公務員は性別に関わらず育休の取得が認められています。これは、育児には男性も女性も等しくかかわることが望ましいからなのではないでしょうか? 出産~育児というこの大きなイベントのスタートを女性だけに任せていい理由が私には思い浮かびません。また、男性が育休中に得た知識や経験は職場復帰後に少なからずプラスになるのではないか?とも考えています。これは私の経験上の話ですが、少なくとも以前よりは『かゆい所に手が届く男性』になっているはずですから」

男性公務員の「育休取得率34%」の数字はからくり? 1歳までの育休取得率は「もっと低いはず」 

――従来の1歳までの育児休業とは別に子の出生後8週間以内に4週間まで、産後パパ育休(出生時育児休業)を取得できるようになりました。また昨年12月には河野国家公務員制度担当相が記者会見で、男性公務員の育休取得率34%と過去最高を上回ったと公表するなど男性の育休事情も変わりつつあるような印象ですが…。

「私が現役だったころ、私の勤務する省での男性公務員の育休取得率は7%くらいと公表されていたと記憶しております。でも実際には当時1%にも満たなかったと思います。それは私の周りには私以外の育児休業取得経験者がいませんでしたから。今回公表された『育児休業取得率34%』については驚きましたが、実情はもっと低いと思っております。

そもそも1歳未満の子どもを養育する際に取れる休暇『育児休業』のことを『育休』といいますが…34%の内訳というのは、おそらく『出産や育児に必要な特別休暇(有給)当時は7日程度』の取得者が30%以上、残りの4%程度をとても短い期間、せいぜい2週間から1カ月の育児休業取得者と考えています。また現役国家公務員数名にも確認をとりましたが、実際のところ周りで育児休業を取得している方は現在まで私以外に見当たらないとのことです」

――専業パパさんの今も親交のある方の職場では「男性公務員の育休取得率34%」という数字に実感が伴わないということのようですね。そんな専業パパさんが退職した理由は?

「当時我が家は共働きで、妻も公務員で育児休業中でした。まず前提として私の頭の中にあるのは『子供たちの将来ほど投資するのに楽しみなものはない』ということです。そんな中、私が育児休業を終えて仕事に復帰してからしばらくして、ふと思ったのは『今後妻が職場復帰し共働きとなったときに、私たち夫婦の考える理想とする育児ができるのか?』でした。

こういった考えのもと、私の方が妻より早く定年を迎えることやそれぞれの勤務環境について熟考し、夫婦共働きを解消し私が専業となることを決心いたしました。専業を決心したことについて妻に相談した際の反応は…私のキャリアが台無しになる申し訳ない気持ちが70%、夫婦の考える理想の育児ができてありがたい気持ちが30%といったところでしょうか」

――現在2児のパパとして育児と家事などをこなしているかと思いますが、公務員時代と比べて育児の大変さなど実感することはありますか?

「私の当時の勤務環境においては物事は基本時間通りに進み、言葉も通じて、周りは同じ方向を向いていました。もちろんこの中で業務に緩急はありましたが…育児となると子どもが小さいうちは言葉も通じませんし、時間通りに物事を進めるにはそれなりのアドバンテージが必要だと思います。簡単に表現するならば『トイレに行きたい時にいけない』といったところです。

妻からは『子供たちに私にはできない経験をさせてくれてありがとう』と言われたことはありますが、妻も積極的に家事や育児をしてくれますので、私だけが家事や育児をしているわけではないのが現状です。ただ妻は職場で楽しく頑張ってくれているようですし、仕事に集中できているのではないかと感じます」

国家公務員として20年ものキャリアを捨ててお子さんのために費やす日々を送っているという専業パパさん。理想の育児は?と尋ねると「常に子供たちの声の届く範囲にいること」だとか。声の届く範囲というのは「呼ばれてすぐ側に駆け付けられるといった聴覚的に届く範囲にいるという意味だけではなく、年齢やその子の特性に合わせた寄り添い方ができること」などと話してくれました。

ブログ「専業パパなくらし」

「専業パパ」さんのTwitterアカウント(@senngyoupapa)

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