沿道から「お帰り」…プリキュアランナーが2時間41分55秒の快走を披露、3年ぶり神戸マラソンで復活

伊藤 大介 伊藤 大介

11月20日に行われた第10回神戸マラソンで、プリキュアのコスプレ姿で先頭集団に迫ったランナーがいました。アフリカなど国内外から集まった有力選手を驚かせたコスプレランナーは、マラソンサニー(@marathonsunny)さんこと神戸市西区の会社員・再田光進(さいた・みつのぶ)さん(37)。神戸マラソンではプリキュアの格好で沿道を沸かせながら、3時間を切る豪脚コスプレランナーとして知られています。コロナ禍で3年ぶりの開催となった地元のマラソン大会。「コロナで大会がなくなっても練習してきた」と2時間40分台でゴールしたマラソンサニーさんにマラソン大会への思いを聞きました。

震災に心痛め「沿道の人に楽しんでほしい」

マラソンサニーさんは兵庫工業高校(神戸市)陸上部時代、兵庫県高校駅伝神戸地区予選で区間1位に輝いた実力の持ち主で、卒業後は市民ランナーとして各地のマラソン大会に出場してきました。コスプレのきっかけは2011年3月の東日本大震災でした。かつて走ったことがある岩手県宮古市のコースが津波にのまれ、心を痛めました。自身も10歳で阪神・淡路大震災を経験しており、「コスプレして走れば、沿道の人に楽しんでもらえるかも」と岩手県宮古市のハーフマラソンが復活した2012年、手作りしたプリキュアのコスプレで出場すると、「かわいい」「セーラームーンみたい!」とお年寄りや子どもたちからも好評を博し、堂々の優勝を飾りました。

神戸マラソンでは毎年、プリキュアの格好で出場する名物ランナーとして知られています。2017年には日本陸上競技連盟(陸連)登録ランナーの仮装が禁止になり、プリキュアコスは見送られましたが、その後は陸連登録を外れ、2018年からプリキュアスタイルを復活させて、沿道を盛り上げてきました。しかし、コロナ禍で2020年から神戸マラソンは中止に追い込まれ、2022年は3年ぶりにプリキュアランを復活させました。

神戸マラソン前日、「プリキュアでいくか、ウマ娘でいくかまだ悩んでいます」と話していたマラソンサニーさんは、プリキュアの新作衣装「キュアサマー」で臨みました。「コロナ禍で世間が暗かった時、元気いっぱいのキュアサマーが登場した『トロピカル~ジュ!プリキュア』が放映されました。沿道の人たちにも明るい気持ちになってもらえたら」という願いを込め、ミシンで手作りした衣装に身を包みました。

スタート直後に金髪のウィッグ(カツラ)がずれてしまうアクシデントに見舞われましたが、右手でウィッグを押さえながら先頭集団を猛追。「ポニーテールのウィッグは重心が後ろにかかる。初披露だったので、ここまでずれるとは思いませんでした」と戸惑いつつ、「給水所の水で頭を濡らして、滑り止めにしました」と金髪を馴染ませ、2時間41分55秒の好タイムでゴールしました。

沿道からは「頑張れ」「お帰り」というエールも寄せられたといい、「コロナ前の日常が戻ったような気がして、うれしかったです」と笑みを浮かべました。今後もプリキュアやウマ娘のコスプレで各地のマラソン大会に出場する予定で、「またどこかで披露させてもらえたら」。あなたの街にも、先頭集団を猛追するコスプレランナーが現れるかもしれません。

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