全国高校ラグビー大会(12月27日開幕)への出場権を獲得している北海道・北見北斗高で起きた〝不祥事〟が一部で報道され、波紋が広がっている。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏が、この問題に関して学校側や関係者による〝隠蔽体質〟を懸念し、自身の見解をつづった。
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北海道・北見北斗高校で、今年8月、ラグビー部の合宿時に、女子マネージャーの下着がラグビー部の部員によって盗まれたという事件報道がありました。その後、この加害部員が、練習を休んだのは、この女子マネージャーが許してくれないからだという理由で、その女子高校生への部員によるいじめもあったと報道されています。
私は、この高校の管理職と関係教員に聞きたい。この事件について、きちんと警察署に通報したのかと。下着であれ、何であれ、人の所有物を盗むという行為は、刑法における犯罪、「窃盗罪」です。被害者もそれを知った関係者も通報の義務があります。ましてや、教育関係者であれば、その被害生徒を守る意味でも通報することが当たり前です。しかし、この記事を読む限り、どうも通報はしていないようです。この行為は、犯罪隠避そして犯人隠匿の罪になります。今からでも、関係者は自首し、その罪を償うことです。
また、もし通報しているにもかかわらず、何らかの理由で、警察がその捜査に手心を加えたのであれば、さらに大きな問題となります。犯罪の隠蔽に警察が手を貸したということになるわけですから。当然この報道によって、北海道警は捜査を始めたと思いますが。
いずれにしても、少年であっても、自らが犯した罪は、きちんと償わなくてはなりません。それが、法であり、その法が私たちを守っていてくれているのですから。それをこの学校が言っているように「教育的配慮」でうやむやにしていいものではありません。特に、加害生徒のこれからの人生のためにも、きちんと償わせるべきです。また、むしろ、そのようないい加減な対応をしたからこそ、二次被害、つまりいじめが起きたのではないでしょうか。また、そんなことはないと信じたいのですが、この「教育的配慮」に全国大会出場のためという理由があったとしたら、言語道断です。学校や関係者の名声や立場を守るための行為とみられてもしょうがありません。
いずれにしても、北見北斗高校の管理職と教員たちへのお願いです。まずは、加害生徒にきちんと罪を償わせてください。もし、加害生徒が、犯行時に18歳になっている場合は、「特定少年」として裁かれ前科が付くことになります。18歳になっていない場合は、少年法によって家庭裁判所に送られ、その罪を償うことになります。厳しいかもしれませんが、罪は償わなくてはなりません。
また、被害者の女子生徒については、速やかにその心のケアに当たって、守ってあげて欲しい。一番傷いているのは、この少女なのですから。
その上で、全国大会への出場について、学内と関係機関との間で検討することです。