自然の中でおおらかに過ごす猫たち…まるで“南フランス”みたい!? 「40代で気づけてよかった」田園で猫と暮らす楽しさ

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

文化の違う外国では、家族の中での猫の役割も違います。日本では愛玩動物として家族に迎えられることが多いですが、南フランスでは生活に欠かせないパートナー。それを教えてくださったのは、茨城県で暮らすL夫妻の夫・Fさん(45)。フランス出身の植物学者です。

穀倉地帯の南フランスで猫の役割は、主にネズミ捕り。ネズミに穀物を食べられないよう、またネズミが家や倉庫に入れないよう頑張っています。家を守ってくれる存在だから、フランス語では「猫の家に住んでいる」という言い回しがあるほど。人間と猫、お互いに尊重し合う関係なのだそう。

Fさんは日本でも猫と暮らしたいと考え、家を建てる際に猫用のドアを設置したり、庭には木登りができる木を植えたりしました。2017年のことです。妻のYさん(44)は猫と暮らしたことがないため、夫から聞く猫の話に「いつか」が訪れるのを心待ちにしています。

その「いつか」が訪れたのは、2021年9月のこと。夫妻が庭に目をやると、1匹の猫がちょこんと座っているのです。生後半年ぐらいでしょうか。Fさんはこの猫が目に飛び込んできた時、考えていた猫の名前のひとつが思わず口から出ました。

「めそ!」

実はこの名前、漫画『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』に登場するキャラクターの名前なんです。Fさんはいつかこの名前にピッタリの猫に出会いたいと思っており、その子が急に目の前に現れたのです。

さあ、この「めそ」と名付けられたこの猫、すぐお家の中に入ってはくれません。1カ月ほど縁側でご飯を出して、「ここは怖くないよ」を伝えます。徐々にお家の中にも入ってきてくれて、今では朝起きるとYさんの顔の横でヘソ天で寝ていることも。

めそちゃんはネズミ捕りが上手で、Fさんの記憶にある南フランスの猫そのもの。ネズミの栄養のおかげか、獣医さんが驚くほどめそちゃんは筋肉質。L家は庭が広く、隣家まで50メートルほど離れているため、めそちゃんはお家の子になってもお外で元気に遊びます。その姿を眺めるのが、L夫妻の楽しみになりました。

それから2カ月が経ち、いつものように庭で遊ぶめそちゃんを見ていると、後ろから子猫がついて回っているのが目に飛び込んできました。すぐ外に見に行くのですが、見失ってしまいます。夜になって倉庫の下にもぐりこんだことは分かりましたが、Yさんは気になってその日は眠れませんでした。

翌日、会社帰りのYさんは、子猫の鳴き声を2軒隣の家から聞こえることに気付きます。すぐFさんにも知らせ、ヘッドライトと網を持って2軒隣の家を訪問。「子猫がいるようなので保護させてください」と。快く迎えてもらい、縁の下に隠れている子猫を網で捕獲。

家の洗面所で網から出すと、生後2カ月ほどの可愛い男の子だと分かりました。この子猫に向かってFさんは言いました。

「君の名前はドラゴン!」

猫なのに龍なのは意外性があって面白いと、前々から考えてあったのだそう。略して「ドラちゃん」と呼ぶと、あの猫型ロボットのようで可愛いですしね。

さあ、2匹に猫が増えたL家は、とても賑やか。4年ほど誰も使うことがなかった猫用ドアが、ようやく活躍します。最初に使ったのはドラゴンくん。とても便利だったみたい。それを見てめそちゃんが、恐る恐る通る。2匹は性格が正反対のようですね。

夫妻が休みの日は、朝から夕方まで思い切り庭で遊んで、時々お土産も持ってきてくれるんです。蛾やヘビですが…。誇らしげに寝室に持ってくるので、怒るに怒れません。何より困るのが、朝3時に2匹が起きること。Yさんがご飯の用意をすると、嬉しそうに見上げてくれるんですよ。怒るに怒れません。

猫たちを家に迎えてから早寝早起きが定着し、泊まりの旅行もしなくなったL夫妻。旅行に行かなくても、猫との暮らしが楽しいから。Yさんはこう言います。

「猫がいるだけで、こんなに楽しいとは思ってもみませんでした。40代で気付けて良かったです」

Fさんは大切にしている盆栽をドラゴンくんの寝床にされちゃいましたが、仕方ない。だって、とても気持ち良さそうにお昼寝をしているから。めそちゃんはFさん自慢のカエデの木がお気に入り。てっぺんまで登って、遠くを眺めます。何が見えるかな?

都会では味わえない、大自然豊かな茨城県の生活。ここだからこそ、南フランス出身のFさんが思い描いた猫との暮らしが実現しました。2人と2匹の年輪が、どんどん重なりますように。

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