SNSで虚無の味と話題の「味のしない?飴」が品薄 開発に1年以上かけたメーカー「予想以上の反響です」

門倉 早希 門倉 早希

「虚無味の飴」…気になるワードでSNSをにぎわせる飴をご存じだろうか。

購入者の投稿がツイッターで話題となっており、シンプルなパッケージには「味のしない?飴」と書かれている。さらにその下には「飴なのに味がしない…?不思議なキャンディ」とも。

ローソンで売っているらしいが、既に品薄で「見つからない…」という声を聞き、記者も急いでローソンに。やはりなかなか見つからず、何軒か周ってなんとかゲットできた。

全く味の想像がつかないまま白っぽいキャンディを口に含むと、確かになんの味もしない(集中して味わってやっとほんのり甘さを感じるレベル)。この記事を書き進めていく途中に食べていたのだが、味がなさすぎて飴を舐めていることさえ忘れていた。「虚無」と表現されるのも納得だ。

なんでも、この「味のしない?飴」は、ローソンが実施する『テスト品総選挙』に立候補(?)している商品のひとつで、飴やグミを製造するカンロが作っているらしい。カンロとローソンに話を聞いてみた。

カンロ「最終的な商品化まで1年以上」

そもそも飴が登場するきっかけとなった『テスト品総選挙』は、ローソンと食品メーカーがタッグを組み、「ありそうであまりなかった商品」7商品を新開発。購入者からの投票で上位3位までがブラッシュアップ後に正式に発売されるというものだ。

カンロの開発担当者に「味のしない?飴」の開発経緯を尋ねたところ、「ローソン様にお声がけいただいたのが発端で、弊社の技術を活用すればご要望に応えられると考え、お受けしました」。

パッケージ裏側には「カンロ史上、最も味がしない飴!?」と書かれている。かなり攻めた商品に思えるが、社内での検討はスムーズにいったのだろうか。そう思って尋ねるとやはり苦労が垣間見えた。「社内では様々な意見があり…(苦笑)。調整を重ねた結果、最終的な商品化まで1年以上かかりました。

また『無味』の再現は、甘さの少ない原料(ポリデキストロース ※食物繊維)を使用したのですが、原料の調達や、工場での製造適性の検討など、社内検討以外でもほかの商品とは違った苦労がありましたね」。

1年以上かかった渾身の商品は話題になったこともあり、先述の通り既に品薄状態に。カンロにも反響は届いているそうで、「ありがたいことに、発売初日から大変好調な売れ行きとなっています。SNS等で話題になることは期待しておりましたが、予想以上の反響で驚いております!」と広報担当者。

さらに、「話題性だけのバズりではなく、『こんな飴欲しかった!』の声もいただくなど新たなニーズを掘り起こすことができ、大変嬉しく思っています」と喜びを明かした。

なぜ企画?ローソンに聞いた

テスト品総選挙では「味のしない?飴」をはじめ、「スポーツドリンクサワー」「プロテinチューハイ」など、ユニークな商品が7つがラインナップしている。ローソンに企画や商品について話を聞いた。

ーーユニークな商品が多いです。

「お客様にワクワクする体験をしていただきたかったからです。お客様参加型で商品を評価していただき、実際の声を聞くことで、より良い商品作りにもつながるのではないかと思い、テスト販売という新たな手法を取り入れ”テスト品総選挙”という企画を発案しました」

ーーでは、無味の飴は一体どんな目的で?

「特に乾燥を防ぐ目的で口の中を潤わせたいというニーズは高まっています。しかし、『甘い飴を食べ続けるのは苦手』『マスクをしているため、ミント味は目に染みる』等の意見があったことを受け、味のしない飴を思いつきました」

ーーちゃんと理由があったんですね。反響については?

「多くの方に良い評価をしていただいたことに驚いています。発売後、味がしない、口の中に何もない事を『虚無』という絶妙なワードで表現していただいている方が何人もいらっしゃり、『あっ!そんな表現があったか!』とお客様の声から、色々と気づきを得ることができました。目指していた味を体現できたのだ、と率直にうれしく感じています。

コメントなどを見ていると、『妊娠中にあったらよかった』『ドライマウスの自分にはうれしい』といった新たな発見もあり、今後の商品開発に活かしたいです」

ちなみに、総選挙の上位3商品はブラッシュアップ後、2023年6月ごろに正式な商品として発売予定。それ以外でレギュラー商品化はあるのか、カンロに聞いたところ「今回のローソン様のテスト品総選挙での結果を受け検討いたします」とのことだった。

◇ ◇

SNSでは「早速買って舐めてみたけどほんとに無だった。ビー玉口に入れて転がしてるような感じだった」「口に入れた瞬間が味のピーク」「後味が驚異的に無」など気になるレビューがずらりと並んでいる。

ほかにも、「飴いっぱい食べちゃうので、対策になりそうで気になる」「これ妊娠中の食べ悪阻に最強では…?」「ダイエット中、口が寂しいときによさそう」「禁煙中に使える」などさまざまな用途が挙げられていた。一見、「なぜ?」と思う無味の飴だが、求められるシーンは思っている以上に多いのかもしれない。『テスト品総選挙』は11月7日まで。

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