「昨日から事故か何かで大ケガをした野良猫が側溝の中にいる」
1枚の写真とともに動物保護団体のNPO法人「アニマルレスキューたんぽぽ」(以下、たんぽぽ)にこんな通報が入りました。すぐに大阪府枚方市内の現場に駆け付けたという、たんぽぽの代表本田千晶さんとスタッフ。野良猫はボロボロの体で瀕死の状態でした。
長い側溝の下のちょうど真ん中にいた野良猫。側溝はボルトで締められ固定されていたため、外れませんでした。そこで、捕獲器に使用するくし状の器具を側溝の穴に刺すなどして野良猫のお尻を押しながら少しずつ長い側溝の出口まで移動させ、捕獲器に何とか押し込み保護したといいます。
「野良猫の目の中は、たくさんの膿(うみ)がたまり、まぶたを完全にふさいでカチカチに固まっていました。脚も明らかに骨折しており、動かすことができない様子で…通報者がたんぽぽへご連絡をくださった10月2日の前日から動けず側溝にいたそうです」(本田さん)
保護された野良猫は入院、骨は細かく砕けていた…退院後、保護団体による終生飼養へ
瀕死の重症で2日間にわたり側溝の中で生きようと頑張っていたという野良猫。保護され病院へ。しかし、生粋の野良猫で人なれしておらず、病院では触られるのを強く抵抗しました。
「痛くて動けないはずなのに、野良猫は力を振り絞って威嚇していたため、麻酔をかけての処置でした。診断結果は骨折とエイズ陽性、肝臓の疾患、全身打撲と、満身創痍(そうい)の状態…。入院をして毎日処置をしてもらい、今は少しずつですが落ち着いてきています。
また点滴などを行い肝臓の数値を改善させてから骨折を治す手術も実施。開けてみると骨の状態が想像より悪くかなり細かく砕けていたため、骨の中に通した棒に砕けた骨を集めて固めてくださいました。ただ、もともとエイズということもあり免疫力が弱いため、うまく固まらない可能性もあるとのこと。打撲もひどくまだまだ入院は続きます」(本田さん)
何とか瀕死の状態から抜け出した野良猫。もし保護されなければ、目はふさがったまま失明していたかもしれないといいます。今回大けがを負っていた野良猫について、本田さんによると「交通事故だったかもしれませんし、虐待の可能性もあります。退院した後も当団体で終生お世話いたします」といいます。
たんぽぽは、2016年に設立。こうした負傷した野良猫の保護をはじめ、野犬の保護、虐待あるいは保健所からレスキューした犬猫、猫のTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻す)の活動などを行っています。本田さんは「1匹1匹に愛情をかけ丁寧にお世話をしており、どんな病気やケガも妥協せず徹底した医療を受けさせしっかり介護ケアをしています」と話してくれました。
また、現在相次ぐ病気や大けがの治療が続いており医療費用がひっ迫。物資も不足しており、広く支援を募っているそうです。里親募集、ご支援・寄付などはリットリンクの問い合わせフォームから。