「感謝を伝えたくて、ある人を探しています」。神奈川県在住の高校1年の男子生徒が、ツイッターを通じて人探しをしている。探しているのは、小学2年の時、入院中の病院で出会った男の子。両親が仕事で忙しく、一人で寂しい思いをしていたところ、話し掛けてくれた子だ。退院後は一度も会っておらず、唯一分かるのは、一緒に遊んだゲーム「妖怪ウォッチ」の個人情報の画面と、「ゆうすけ」という名前のみ。だが、ツイッターの輪を通じて、たった3日で本人らしき人物に近づいたという。男子生徒は興奮気味に言う。「奇跡が起きるかも」
男子生徒は小学2年の時、交通事故で車と接触。右足を開放骨折し、折れた骨が皮膚をつき破る大けがを負った。入院したのは、横浜市内の病院。最初は両親と個別病室で過ごしていたが、親の仕事が忙しいため子ども部屋の病室に移動することになった。治療の怖さや不安もあり、一人で心細い―。そんな時、ゆうすけ君が明るく声を掛けてくれた。「一緒に遊ぼう」
妖怪ウォッチや人生ゲーム、野球盤ゲーム…。数カ月間の入院だったが、1日のほとんどの時間を一緒に過ごし、よく笑い、元気をもらった。そうするうちに、ゆうすけ君は男子生徒よりも早く退院。その後、男子生徒はまた一人になってしまったが「励ましをもらったおかげで頑張れた」と振り返る。男子生徒が退院してからは一度も会うことなく、それぞれの日々を過ごしていたという。
感謝を伝えたい。男子生徒がそう思ったのは、約9年が経った最近のことだ。この間も忘れずにいたというが、ふと今どうしているんだろう。もう一度会って、改めて感謝を伝えたいと思い立った。今月13日、ツイッターにゲームの画像とともに、「このツイートに掛けてみます」と探している理由や経緯を投稿。瞬く間に拡散され、心当たりのある人から次々に情報が寄せられた。母親がゆうすけ君の苗字を覚えていたこともあり、有力な情報と照合すると、同15日には本人らしき人のインスタグラムに辿り着いたという。
現在は本人確認中で、「元気でいてくれるだけでもうれしい」と男子生徒。ツイッターには「お願いだ、会えてくれ」「ネットの力気持ちよすぎるだろ!」などと応援や驚きの声が上がっている。