「去年河原で見かけた君のこと、短歌に詠んだのよ」チューバ吹きの青年とおばあさまの出会いがおとぎ話みたい

鶴野 浩己 鶴野 浩己

河原で金管楽器のチューバを練習していた青年とおばあさまとのふれあいが、「素敵な話」とTwitterで話題です。投稿したのは、会社員で週末は金管バンド等で音楽を楽しむダイキチ@チューバ(@kichitubaman)さん。近所の河原で個人練習をしていたら、とても上品なおばあさまに声をかけられたそうです。

「河原にてチューバ練習する男の子 チューバに空と雲を映して」

その場でおばあさまが紙に書いて渡してくれた短歌は、チューバを吹いていたダイキチさんのことを詠んだもので、なんとNHK全国短歌大会で特選に選ばれたのだとか。

「去年もここで吹いていた君のことを詠んだ短歌が特選に選ばれたんよ」と嬉しそうに話してくれるおばあさまに、ダイキチさんも感動して思わず泣きそうになったといいます。

この心温まるツイートには、「なんて素敵なエピソード!」「チューバに映る空と雲が見えるよう」「続けたことで再会。素敵なご縁」「心が温まる」と感動のコメントが殺到。ダイキチさんに、おばあさまとの再会について聞きました。

素晴らしい短歌にしていただいた

――おばあさまには、最初どのように声をかけられたのですか?

「それはチューバですか?」と声をかけられ、続けて「去年もこのあたりで練習されていましたか?」と聞かれました。ほかに思い当たる人がいなかったので「おそらく自分です」と答えると、ツイートした短歌を書いて詠んでくださいました。

――情景が浮かぶような素敵な短歌ですよね。どう感じられましたか?

コロナ禍で、人ごみや密室を避けるために昨年から河原で練習していたのですが、公共の場所での練習はともすれば騒音行為です。にもかかわらず、素晴らしい短歌にしていただいてとても温かい気持ちになりました。何よりも、チューバという楽器を知ってくださっていること、僕を覚えてくれていたことがうれしかったです。

――それです!楽器を見てチューバだと気づかれたおばあさまがすごい。

とてもハキハキと話される方で、すごく教養を感じる佇まいをされていました。音楽がお好きで、クラシック演奏のテレビ番組をよく見ているとおっしゃっていたので、チューバをご存じだったのかもしれませんね。ただ、この河原での練習中に数人の方に楽器について聞かれたことがあったので、ひょっとしたらご説明したどなたかだったのかもしれないのですが…。

――練習を続けてこられたからこそのご縁でしたね。ちなみに河原はご自宅から近いのですか?

自宅から自転車で10分ほどの場所ですが、チューバを背負って行くのでなかなか大変です(笑)。だけど、今回声をかけていただいたおかげで、自分の演奏や音楽に取り組む姿勢が、他の人に少なからず影響力があるのだと再認識できました。これからも、誰かの心に何かを与えられるような音楽を届けていきたいです。

――チューバ奏者としてはどのような活動をされているのですか?

「lmmortal Brass Eternally(通称IBE)」という英国式金管バンドに所属しています。アマチュアではありますが、本場の音を追求し、より深くブラスバンドを楽しむことを目的としたバンドです。目標は、海外のブラスバンド・コンテストでの優勝!来年にはいよいよ、オランダで開催されるコンテストに出場する予定です。また、僕個人での独奏活動もしていて、年内にソロリサイタルを行う予定です。

――リサイタルやコンテストでの結果を、今度はダイキチさんがおばあさまに報告できるといいですね!最後に、今回のツイートの反響について感想をお聞かせください。

あまりにもたくさんの方にツイートを見ていただけて驚いています。でも、コロナ禍で音楽を諦めてしまったり、モチベーションが下がってしまった方が少なからずいると思うので、そうした人が1人でもこのツイートをきっかけに「また音楽がしたい」と思ってくださったらうれしいです。感情に任せてツイートしたので、投稿した文章が少しおかしいかもしれませんが…ご容赦いただけますと幸いです(笑)。

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