人気時代劇「鬼平犯科帳」にも登場した京都の木製橋 修繕問題が勃発…「風情」とるか「耐久性」か、どっちを重視?

京都新聞社 京都新聞社

 人気テレビ時代劇「鬼平犯科帳」にも登場した京都府南丹市園部町竹井の摩気橋が老朽化し、7月中旬から車両通行止めになっている。管理する市は修繕を検討しているが、景観になじむ木製にするか、耐久性の高い鋼製などにするか、頭を悩ます。双方に一長一短があり、地元は「早急に良い案を出してほしい」と市に求めている。

 橋は長さ25・6メートル、幅3・6メートル。現在の橋は1993年に設置された。小寺誠・元区長によると、摩気神社に至る参道の一部である摩気橋は「馬橋」とも呼ばれる。参拝する園部藩の侍が敬意を表して橋の前で馬から降りたことから、名が付いたという。

 造り酒屋だった山村家がそばにあるなど風情も豊かなこともあり、時代劇のロケ地としても知られ、京都で製作された多くの作品が撮影された。「鬼平」では、江戸の四季を表現したエンディング映像で、雨中に人々が橋を行き交う場面が撮影された。

 2003年に補修されたが、近年は欄干が腐ってぐらついていた。最近になって急速に状態が悪化し、橋を支える主桁に大きなひびも見つかったため、車両の通行を禁じた。

 市は5月、大まかな考え方として「木による維持補修」と「鋼などによる新設」の二つの可能性を地元に示した。木の場合は景観に溶け込み、工費も安い。ただ現在では木橋は基本的に道路橋としての採用が考えられておらず、車が通れなくなる可能性も否定できないという。一方、鋼やコンクリートにすると耐久年数が長く、車も確実に通れるが、風情は薄まる。橋台の新設などが必要で工費は大幅に増し、工期も長くなる。

 野々口英治区長は「『車は通れるようにしてほしい』との声がある。生活道として使え、かつ景観に配慮した橋が早くできてほしい」と市の知恵を期待する。摩気地区在住で観光振興に取り組む園部文化観光協会の小林康夫会長も「風情が残る案を」と願う。

 木橋技術協会によると、車が通れる木橋は各地に多数存在しているという。市道路河川課は工法次第では木橋で車が通れるようにすることは可能で、木橋の採用が現実的との認識も示唆しつつ「最適な案が得られるよう検討を進めたい」としている。

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