奈良でミュージカル×聖徳太子 作品誕生はサイクリングがきっかけ!? 愛犬「雪丸」や愛馬「黒駒」も登場

八木 純子 八木 純子

 かつては1万円札の顔としても知られ、いつの時代も高い人気を誇ってきた聖徳太子。没後1400年の今、再び注目を集め、この10月9日、数々の伝説に彩られた聖徳太子がミュージカルファンタジーとなって甦る。主催者であり、聖徳太子役を演じる「SHOW-COMPANY」代表の阪上めいこさんに話を聞いた。

偶然が重なり、聖徳太子を演じることに

 「聖徳太子」を題材にするきっかけは、出演者の一人、山崎真実さんが新しい自転車を購入したことから始まった。なぜ、自転車なのか。阪上さんが言う。

 「山崎真実さんと音楽監督のA-panさんの3人で竹内街道をサイクリングをしていたら着いた先が大阪府太子町の叡福寺(聖徳太子御廟所)だったんです。そこには聖徳太子のお墓がありました。なんと、偶然にもその日が没後1400年忌の催しの始まりだったんです」

 以来、何かに引き寄せられるように法隆寺や四天王寺、叡福寺などに通い、十七条憲法などにも触れ「聖徳太子が大好きになりました」と言う。そして、2022年4月、聖徳太子の命日にちなんで開かれる四天王寺の法要「聖霊会(しょうりょうえ)」をみて、作品に取り組む決意を固めた。

 「聖徳太子」を描くため、当然ながら史実や伝承を知ることにも力を入れた。「考古学者の前園実知雄さんをはじめ、歴史学者の東野治之さん、法隆寺の古谷正覚管長、王寺町学芸員の岡島永昌さんら専門家の方々にお会いさせていただき、お話を聞かせていただきました。いろいろと参考になり、感謝しています」

 四天王寺に何度も見に行った聖徳太子絵伝をもとにしながら、阪上めいこさんならではの豊かな発想で、オリジナルの物語「聖徳太子」は仕上がっていった。

劇団創設33年…待望の公演が「聖徳太子」

 「SHOW-COMPANY」(本部・大阪府八尾市)は阪上めいこさんによって1989年に設立されたミュージカル劇団だ。「愛と勇気と夢」をテーマに、長年にわたってオリジナルのミュージカルを創り続けてきた。阪上めいこさんは看板女優として舞台に立つ一方で、脚本、演出なども手がけている多才な人でもある。

 コロナ禍でここ数年、公演らしき公演は一切、開くことができなかった。そのため、今回の「聖徳太子」は待ちにまった舞台でもある。

 ストーリーは天皇の第二皇子として生まれた聖徳太子(阪上めいこ、少年期は山崎真実)は父の死後、蘇我馬子(笑福亭生喬)と物部守屋(笑福亭生寿)の戦い「丁未の乱」に巻き込まれていく。若くして権力争いの悲惨さを知った聖徳太子は孤独と苦悩の中で、我が国の未来のために生きる道を選ぶ|というもの。大人だけでなく子どもも楽しめるようにと、聖徳太子の愛犬「雪丸」や愛馬「黒駒」も登場する。

 「こちらはお子さんをはじめ、みなさんに笑顔になっていただきたいと思って楽しく描いています」と阪上めいこさん。その阪上さんとともに、聖徳太子の少年時代を演じる山崎真実さんは「まさかあの日、サイクリングしたのがきっかけで、私も聖徳太子を演じるとは予想もしませんでした。演じる限りは孤独な少年時代をしっかりとやらせていただきます」と意気込んでいる。

 公演を待ち望むファンからは「聖徳太子がミュージカルになると聞いただけで、ワクワクします」という声が多い。阪上めいこさんは「聖徳太子から学んだ平和を愛する心と思いやり。未来を信じることの大切さも、今回のミュージカルを通してみなさまにお伝えできれば、うれしい」と語る。

 時代を超え、世代を超え、人気の聖徳太子がミュージカルになって甦る。芸術の秋、観てみたい公演のひとつだ。

◇SHOW-COMPANY ミュージカルファンタジー「聖徳太子」
公演日:2022年10月9日(日)/①14時00分開演②17時30分開演※開場は開演の30分前
会場:なら100年会館 大ホール(奈良県奈良市三条宮前町7-1、JR奈良駅西口より徒歩約5分)S席前売:7500円 当日:8000円、A席 前売:5500円、当日:6000円、B席前売:3500円、当日:4000円(全席指定・税込)※未就学児の入場不可

www.musical.co.jp 

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