とらくん(1歳・オス)、もみじちゃん(1歳・メス)は、兄妹。あるおばあさんが保護団体に保護してほしいと要請してきた。そのおばあさんは、とらくんたちの母猫にあたる2歳くらいのキジトラ猫は家に入れていたが、3匹生まれた子猫は外に出しっぱなし。飼育放棄していたようだった。ごはんもあげているのかいないのか分からず、外にはキャットフードではなくシュークリームが置かれていることもあった。
2021年10月28日、保護団体が捕獲器を使って子猫を保護。お腹が空いていたのか2分くらいであっという間に捕獲できたという。生後1カ月半くらいで、みんなガリガリに痩せていた。
子猫たちと一緒に、キジトラの母猫とシーズン違いで生まれていた1歳の三毛猫も保護されて、避妊手術をした後、預かりボランティア宅で人馴れ修行中、里親を募集しているそうだ。
子猫の兄妹を迎えたい
神奈川県に住む島林さんは、マイホームを建てて約2年、子どもを授からなければ子猫を迎えようと夫婦で話していた。
「私は保護猫の存在を知らず、猫はペットショップで買うものだと思っていました。でも、夫は生き物をお金で買うことに抵抗があって、色々調べて、保護猫を引き取りたいと考えていたそうです」
2021年11月15日、夫妻は近隣で開催された譲渡会に参加。子猫の兄妹を迎えたいと思っていたので、第3希望まで出していたが、応募者が多く全滅した。翌日、絶望しながらもネットで検索したら、別の譲渡会を発見。あと30分で閉会するところだったが、電話で問い合わせをして、急いで会場に向かった。
そこで兄妹猫に一目惚れしたが、妹猫は既に里親が決まっていた。落胆していたら、「この子たちは実は3兄妹。1匹のメスは真菌の治療中で譲渡会には出なかった」と言われた。島林さんは、そのメス猫と兄猫を希望。その子達がとらくんともみじちゃんだった。
「2匹は大切な家族であり子ども」
11月21日、島林さんは2匹を迎えた。とらくんももみじちゃんも、ケージに入れるとすぐにリラックスした。その後しばらくは2匹とも警戒して、特に、もみじちゃんは激しく威嚇した。就寝時、抱っこしてケージに入れようとしたが、足早に逃げて捕まえるのも大変。引っ掻き傷ができることも多かったという。
その後、家には慣れてくれたが、とらくんはとても食欲旺盛。ごはんの準備をしていると大きな声で鳴き、時にはキッチンカウンターを乗り越えて先に食べようとすることもあった。
「それが毎食だったので、なんだか急かされているような気がして憂鬱になることもありました。私たちの食事も油断していると食べられてしまうことも。とらが上がってこられない高い場所にあるレンジの上でごはんの準備をしていた時期もありましたが、大きくなるにつれて少しずつ落ち着いてきました。今でも大きな声で催促してきますが、こちらも余裕ができて可愛いと思えるようになりました」
とらくんは甘えん坊でビビリ。「ごはん」と言うと、「ニャア!」と大きな声で鳴いて駆け寄ってくる。もみじちゃんはおっとりした甘えん坊だが、自立している。外を眺めるのが好きだという。
2匹は大切な家族であり子どもだという島林さん。裁縫は苦手だったが、シュシュの首輪作りにハマって、兄妹おそろいで色々作っているそうだ。