外猫として7年間見守ってきた兄弟 血液検査で病気が発覚→保護して家猫に 本当に幸せなのかな?「ごめんね」と思うことも

渡辺 陽 渡辺 陽

生き別れた母猫と兄弟猫

アスパラくんとかたまるくん(8歳・オス)は、京都府に住む佐藤さんに保護された。佐藤さんは、2014年8月に野良猫の子猫モカちゃんを保護したが、モカちゃんには母猫と兄弟がいた。その子たちがアスパラくんとかたまるくんだった。

モカちゃんは佐藤さんの義実家で隣家の通り土間でうずくまっていた。母猫が1匹ずつ安全な場所に移していたのだが、引っ越しの最中、義父が何も知らずに扉を閉めてしまったので、離れ離れになった。佐藤さんは、獣医師に「飼えるなら飼ったほうがいい」と言われて、モカちゃんを迎え入れることにした。

佐藤さんはずっと母猫と兄弟のことが気になっていた。兄弟はいつも母猫と行動を共にしていて、フードを置いておくと食べに来た。そのうちよく庭に来るようになった。母猫はだんだん姿を見せなくなった。

外猫として可愛がった

佐藤さんは、よくアスパラガスの葉に隠れて遊んでいた子猫を「アスパラガス」と命名。もう1匹は臆病で、よく固まっていたので「かたまる」という名前にした。

母猫が姿を見せなくなり、子猫たちを託されたような形になったが、先に迎えたモカちゃんが病気がちで、ワクチン接種もできていなかったので、同じ場所で生活させるのは心配だった。

「とりあえず、生後7カ月の頃、去勢手術しました。温かく過ごせる小屋を作り、外猫として世話をしてきました。義父母が可愛がり始めたので、私たち夫婦の考えだけでどうこうしづらかったこともあり、そのまま月日が経ち、気づけば7年も経っていました」

病気が発覚、家猫に

かたまるくんの予防接種をした時に血液検査をしてもらったら、肝臓が悪くなっていた。薬を飲ませようと思っても逃げてしまい、思うように飲ませられなかった。さらに、アスパラくんは猫エイズキャリアになっていることが判明。

「このままではダメだと、ひと部屋を猫用にリフォームして、2021年10月28日、2匹同時に部屋に入れました。でも7年もの間外で自由に暮らしてきたので、部屋での生活に慣れてもらうのは大変でした」

かたまるくんはほとんど動かず、じっと窓から外を見ていて、運動不足で太ってしまった。アスパラくんは、キャットタワーに登ってキャットウォークの上でぐるっと回り、一旦降りてまた登るという行動をひたすら繰り返した。

「交通事故や迷子の心配のないところで、少しでも長く安心して暮らしてもらいたいから家に入れたのですが、彼らにとって本当に幸せだったんか疑問に思うこともあります。ごめんねという気持ちもあり、自分たちのために部屋猫になってもらったんだなと考えています」

モカちゃんは、体質のため生涯予防接種ができない。加えて、今まで1匹で暮らしてきたのに、他の猫と暮らすのはストレスだろうということで、兄弟は完全に別の部屋で暮らしている。ただ、スペースが狭いためたびたび小競り合いになっているので、佐藤さんは、外にキャットランのようなものを作れないか考えているそうだ。

アスパラくんはベタベタしてこない。遊び好きで無邪気な猫だ。かたまるくんはのんびりおっとりしている。撫でてもらうのが大好きな甘えん坊だという。

「そばにいてくれるだけで幸せな気持ちで満たされる。可愛くて大切で、かけがえのない存在です」

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