元飼い主の急死で保健所に…縁あって引き取った飼い主の足元で寄り添う高齢犬にネット感涙「幸せな犬生をすごしてね」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「前の主さんがお亡くなりになったのを知らずにずっと待ってたゆう君。それから保健所に収監されてどんなに怖かったか。先は長くないだろうけどそんな最期は可哀想だとおとーさんが引取り今に至る。
おとーさんの足元で安心して寄り添ってる姿を見るとたまに泣けてくる。ゆう君。良かったねぇ…」

男性の足元で寄り添う犬の写真がTwitter上で話題を集めました。

投稿したのは、柴犬オルカのママさん(@benibaraxxx)。柴犬オルカのママさんによると、写真は親のように慕っているという「おとーさん」の家に、愛犬の柴犬オルカちゃん(2歳・雌)を連れて遊びに行ったときに撮影した1枚だとか。おとーさんの足元に寄り添うワンちゃんは、ユウノスケくん(呼び名ゆうくん・雄)といいます。14歳の高齢犬。元飼い主さんが急死し、保健所に収容されました。今年の春、ゆうくんのことを知ったおとーさんが、保健所から引き取ったそうです。そんなゆうくんの過去と命を救ったおとーさんに感動した人たちからたくさんのコメントが寄せられています。

「おとーさん、ママさんも、ゆう君を引き取ってくださって有難うございます。これまでのお話を読んで涙が出ました。安心しているゆう君、本当に良かったね」
「ゆう君…そんな過去があったのですね おとーさんにぴったりくっついて…幸せだね 良かったね」
「おとーさんのお優しさに感謝いたします。本当にありがとうございます 元の飼い主さんも、喜んでおられます」
「最後の最後に安心できる環境で過ごせて良かったよぉ…」
「優しい飼い主さんのところで、幸せな犬生をすごしてね」

おとーさんがゆうくんをおうちに迎えたときのことなど、柴犬オルカのママさんに聞いてみました。

保健所に送られた高齢犬、ほえまくり威嚇し、人間全てに拒絶反応を見せていた

──ゆうくんの元飼い主さんは急死されたそうですね・・・。

「はい。前の主さんは出先で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。独り身であったため、警察の方が自宅に現場検証に入った際にゆうくんを発見し、そのまま保健所に送られたようです」

──おとーさんが保健所にいるゆうくんのことを知ったきっかけは?

「おとーさんがなじみの店でコーヒーを飲んでいたとき、たまたま近くの席にゆうくんの兄弟犬を飼っているトトくんママがいました。トトくんママはおとーさんの知り合いです。兄弟犬ということもあり前の主さんと交流のあったトトくんママはゆうくんの現状を知っており、『どうにか助けたいけど2匹飼うことは難しい』と悩んでいらっしゃったとのこと。

そこで、おとーさんが動物好きであること、前に飼っていた柴犬サクラちゃんが亡くなりペットロスになっていることを知っていたこともあり、ダメ元で保健所に送られたゆうくんの話をしてくれたとか。ただ、この時点ではおとーさん(当時76歳)は自身の年齢を考えると乗り気ではなかったと聞いています。でも、トトくんママから『見るだけでもお願いできないか』と言われて、保健所に見に行くことになったそうです」

──おとーさんたちが保健所に足を運んだときのゆうくんの様子は。

「強制的に保健所へ連れて行かれおりの中に入れられたゆうくんは恐怖心が強かったのかとにかくほえまくり威嚇し、人間全てに拒絶反応を見せていたといいます。隙あらばかみつく勢いで・・・でも、ガタガタ震えていたそうでよっぽど怖かったのだろうと思います。

一緒に行ったトトくんママが唯一ゆうくんと面識があったので、気付いてもらおうと一生懸命名前を呼び続けたそうです。ただ高齢のためかゆうくんは耳があまり聞こえなかったようです。が、そうこうしてるうちにゆうくんは自分の知ってる人だと気付いたのか、トトくんママの所へおり越しに近付いてきたとのこと。飲まず食わずでトイレも行かずの状態でしたが、トトくんママが持ってきたおやつはこのとき口にしたそうです。

おとーさんは、トトくんママに接するゆうくんの様子を見てそんなに恐い子ではないこと、そして、あまりにもガタガタ震えていたことから、『この年まで生きて最期が殺処分されるなんてあってはならないことだ』と思われたとか。そして『自分も年だし簡単に引き受けられないと思っていたはずが、終生最期まで幸せにしてやる』と決意したといいます。とにかく目の前の命をどうにかしないとという思いに駆られたと聞きました」

新しい飼い主「おとーさん」 迎えた当初はほとんど寝ずに高齢犬の様子を見ていた 

──その日のうちにゆうくんを引き取ったのでしょうか?

「この日はいったん帰り、次の日も保健所にゆうくんの面会に行きました。トトくんママに対してだけはゆうくんは落ち着いてたため、試しに保健所の周りを一周散歩してみたところ問題なくできたので。これなら大丈夫だろうと思い、そのままゆうくんを連れて帰ることができたそうです」

──おとーさんたちのおうちにゆうくんを迎えたときのことをお聞かせください。

「いざ連れ帰ってきたものの、ゆうくんもおとーさん、おとーさんの奥さん『おかーさん』もお互いに緊張していたこともあり、手探りの状態でした。しばらくはおとーさんもおかーさんもほとんど寝ずゆうくんの様子を見ていたとのこと。また慣れるまではトトくんママが毎日様子を見に来て、必要であればご飯やおやつ、動物病院での薬などを差し入れてくれました。仲介者がいてくれたことが良かったのか、ゆうくんも少しずつ落ち着いていきました

ただショックからかゆうくんはお腹を下していて長いこと体調が安定しない日がしばらく続いていました。おとーさんは動物は言葉を話せないから注意深く観察してどうしてほしいのか読み取ることが大事だという信条を持っている方で、とにかく様子を見ていたそうです」

──おとーさんの動物愛護に溢れた優しさがゆうくんの気持ちを少しずつやわらげていったんですね・・・。

「そうですね。私の愛犬オルカも毎日のようにゆうくんと顔を合わせて少しずつ仲良くなり一緒に遊べるようになってきて。ボール遊びをしてみたところ、ゆうくんはどうやらこの遊びが一番好きそうだと分かりました。また車のドアを開けっ放しにしてボールを放り込んでみたりと、少しずつ苦手な車に乗ることも慣らしていったりと。今では安心できる我が家と認識しているので敷地内を気ままにゆらゆらお散歩し、のんびり過ごしています」

──オルカちゃんと仲良くボール遊びもするようになったんですか!

「はい。オルカはとにかくゆうくんが大好きで『あっそぼー!!!!』と突進していくことも。ゆうくんが調子の良いときはじゃれ合ったりしています。人間がボールを投げればボールを追いますが、変なところで空気を読むのかボール遊びのときはオルカが譲ったりします(笑)。遊びとは言わないかもしれませんが、とにかくオルカがゆうくんの後を追ってます。ゆうくんは小娘だからしょうがないかと大人の余裕で流してますが・・・」

穏やかで優しい高齢犬 おとーさんのそばに控える忠誠心の厚いワンちゃん

──そんなゆうくんですが、普段はどんなワンちゃん?

「性格は穏やかで優しいです。そして忠誠心の塊かというくらいにおとーさんの後をついて回りそばに控え、よく見ています。賢くて状況判断ができて、おとーさんが仕事道具を車に積んでいるときは後を追わず待っています。ご飯を食べたあとは決まっておかーさんにちょいちょいと手をやりおやつを要求します。そのあと、またちょいちょいとつつきなでてと要求。それが決まったルーティンで、その様子がかわいくておとーさんとおかーさんはたまらない様子でした! 高齢なので足が不安定ですが、ボール遊びのときだけは若返ります(笑)」

──また、ゆうくんのおとーさんは動物愛護に溢れた方ですね。

「もともと動物好きですが、ボランティア活動などをしていたわけではありません。以前飼っていたネコさんやワンさんはかわいそうな境遇だった子たちでした。野良だったり虐待にあったりと・・・そんな境遇を周囲から聞いて引き受けたそうです。何の相談もなしに犬や猫を連れ帰ってきたおとーさんに対し、おかーさんはあきれつつも命あるものを不幸にはできないと受け入れてきました。おとーさんもおかーさんも本当に慈悲深い方々です。

さらに昨年の夏には、1年間山中で迷子だった犬を病院へ連れていき、飼い主さんに引き渡したりしていました。おとーさんはボランティア活動をしているわけではないですが、困った動物がいたら即座に行動をしてしまうという方なんです」

──おとーさんはゆうくんにどんな余生を送ってほしいのでしょう?

「おとーさんに聞きましたら、『絶対に最期まで幸せにするから甘えたいだけ甘えて、のびのび過ごしてほしい』とのこと。ゆうくんが家に来てから『自分の生活にも張り合いが出て、今までなら年齢を理由に諦めたりしていたこともあるけど、ますます頑張ろうと思えるようになった、家がさらに明るくなった、いい事づくめだ』と笑顔で語っていました。私もゆうくんが来た初日からそばで見てきましたが、どんどん表情が穏やかになり、今幸せなんだなぁと伝わってくるようで!何も心配せずのびのびと過ごしてね、と思います」

悲しい過去を乗り越えてきたゆうくん。おとーさん、おかーさんたちと一緒に長生きして、楽しい毎日を送ってくださいね!

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柴犬オルカのママさんのTwitterアカウント(@benibaraxxx)

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