61年前に発売、国内初の鍵盤ハーモニカ「スーパー34」を探しています 手がかりは「現在57~73歳の方」

金井 かおる 金井 かおる

 「スズキメロディオン初号機『スーパー34』を探しています」ーー日本で初めて鍵盤ハーモニカを製造販売した鈴木楽器製作所(本社、静岡県浜松市)の呼びかけが話題です。所有者は現れたのでしょうか。同社に聞きました。

手がかりは「現在57~73歳ぐらいの方」

 同社は1954(昭和29)年2月創業。1961年に国内初となる鍵盤ハーモニカ「メロディオン」を発売しました。同社にとって記念すべきモデルにもかかわらず、社内に保管品がないことが判明。当時の資料は写真しか残っていませんでした。同社では「2023年に創立70周年を迎えるにあたり、本社に展示し後世に伝えていきたい」という思いから、7月末に同社ホームページや公式SNSを通じて発信を始めました。

 同社営業本部企画課の担当者に話を聞きました。

──その後、有力な情報は届きましたか。

「まずは旧モデルをお寄せくださいました皆さま、また情報をご連絡くださいました皆さま、ありがとうございました。ご協力に感謝申し上げます。何件か情報をいただいたのですが、残念ながらまだ初号機『スーパー34』の発見には至っておりません。また『スーパー34ではないのですが』といずれも貴重な旧モデルをお持ちの方から、いくつかメロディオンをお寄せいただいております」

──初号機の製造台数や販売地域は。

「製造数はあいにく情報がなく分かりません。浜松市で誕生し、全国へ普及していったので特に初期のモデルは、他地域よりも静岡県内の方が多く流通していたのではないかと推測します。また他社ブランドのOEM(受託製造)としても供給していたので、そのブランドの販売地域には流通していたと思われます」

──手がかりとなる情報があれば教えてください。

「スーパー34は、現在57~73歳くらいの方に主に小学校でお使いいただいていたモデルです。現在80~90代で学校の先生をされていた方も指導用としてお使いいただいていた可能性があります。『もしや…!』とお思いの方はぜひお気軽に情報をお寄せください。お譲りいただくにあたっての条件等は個別に相談させていただきます」

 「メロディオン スーパー34」の特徴を紹介します。

(1)34鍵盤。長さ約45cm×10cm。鍵盤横のサイドカバーは赤色
(2)収納ケースは黒っぽい塩ビケース
(3)製造期間は1961(昭和36)年~1971(昭和46)年ごろまで
(4)使用していたと思われる世代は、1949(昭和24)年ごろ~1964(昭和39)年ごろ生まれの人、現在57~73歳ぐらい

 心当たりのある人は、鈴木楽器製作所ホームページ「スーパー34お問い合わせフォーム」または、電話053-461-2325まで。

鍵盤ハーモニカ誕生のきっかけは?

 同社は創業者の鈴木萬司さんがハーモニカ製造業として立ち上げました。創業当時、小学校での音楽の時間はオルガンを使った授業が中心でした。しかしオルガンの台数には限りがあります。そこで鈴木さんは、児童全員がハーモニカのように気軽に持つことができ、音階もしっかり学べる楽器をーーとの思いから鍵盤ハーモニカ「メロディオン スーパー34」を開発しました。現在ではプロモデルやアンプにつないで演奏できるタイプまで幅広く展開。近年ではプロのミュージシャンが演奏を披露するなど人気を集めています。

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