アフターコロナで急成長⁉「インバウンド」とは?市場規模/今後のトレンド/キャリアパスを徹底解説!

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インバウンドは「外から中に入る」と言い換えられる言葉で、対義語はアウトバウンドです。複数の意味を持ち、主に①観光、②ビジネスシーン、③IT領域の用語として、それぞれ異なる意味合いで使用されています。今回は、観光におけるインバウンド(外国人観光客が日本を訪れること)について見ていきます。

インバウンドとは?

観光の分野では、訪日外国人の方が日本国内で消費活動をすることを指します。インバウンドは、コロナ禍で大きな打撃を受けていますが、コロナ以前は右肩上がりでの成長を続ける産業でした。日本では観光立国を推進し、ビザの緩和や免税、団体客を受け入れるツアーの企画など、官民をあげてインバウンド需要の拡大、訪日外国人の受け入れに取り組んでいました。観光庁の発表によると、2019年の訪日外国人観光客数は3188万名で、その消費額は4.8兆円に達しています。

インバウンドの市場規模は?

インバウンドの市場規模は、自動車の輸出に次ぐ成長産業になるポテンシャルがあると言われています。2019年度のインバウンドにおける消費金額は4.8兆円に上り、巨大産業となっています。一人あたりの消費金額は15.8万円とも言われており、一人あたりの消費単価が高いことも特徴です。

2022年以降の観光需要の回復見通しに関しては、アジア諸国は悲観的に見ており2024年以降に2019年頃の水準に戻ると予想されています。一方、北米・ヨーロッパでは2023年頃に2019年頃の水準に戻ると予想している意見が多い状況です。新型コロナウィルスの感染状況に左右される部分も大きく、先行きが見えない状況ではありますが、少なくとも2021年頃よりも状況はポジティブに捉えられています。

アフターコロナのインバウンド需要

世界的に、コロナ禍は自宅で過ごす時間が増え、自分と対話する時間が増えたと言われています。北米市場では、自己探求が大きなテーマとなっており、サステナビリティ、アウトドア、自然回帰、バンライフ、デジタルデトックス、農泊といったキーワードに関心が高まってきています。一方、タイ、台湾、中国市場では、円安であることに関心が集まっており、ショッピングや日本食を楽しみたいというニーズが拡大しています。各国市場によって旅行に求めることが大きく異なってきていると言えます。

今後、日本の観光に求められるのは「質」の向上と言えるでしょう。これまでの観光は「売上=単価×数量」と捉えると今までは低単価で受け入れの数を増やし売上を高める考えが強い側面がありました。アフターコロナの観光は、受け入れる人数を増やすことに主眼を置くよりも、質を高めることが多様化する観光ニーズに応えることに繋がると考えられます。

訪問先としての日本の魅力

・アーバンエリア
日本には、観光地として魅力が数え切れないほどあります。アーバンエリアに出かければショッピング、日本食を楽しむことが可能です。アニメグッズの購入やアニメの聖地訪問の需要も高い傾向です。

<楽しみ方例>
家電量販店・薬局・免税店などでの買い物、居酒屋、浅草寺といった有名な寺社仏閣、アニメの聖地秋葉原、原宿のkawaiiカルチャー 他

・ローカルエリア
今後より注目を集めるのがローカルエリアです。サステナビリティ、自然回帰、アウトドア、デジタルデトックス、農泊といったキーワードでニッチですが目的を持った観光客がローカルエリアに長く滞在することが増えると予想されます。

<楽しみ方例>
歴史ある旅館での宿泊、酒蔵めぐり、農業体験、サイクリング、日本ならではの自然に触れるトレッキング、スノーリゾート、寺社仏閣めぐり 他

訪問先として選ばれるために!

訪問先として選ばれるためには、商品内容の作り込みから情報発信まで徹底したマーケットイン、顧客視点が重要です。「ウチのエリアではコレが売りなので外国人に売り込みたい」という発想に陥りがちです。しかし、観光資源・サービスに関心を持つ外国人観光客はどのような方で、どのようなニーズを持っているかをマーケティングし、商品化や商品としての魅力化を進めていくことが不可欠です。

また、情報発信についても同じくマーケットイン、顧客視点がカギになります。観光スポットの選定や発信のプラットフォーム選定、クリエイティブも、PRするターゲットを想定し、ターゲットとなる外国人観光客の情報収集スタイルや関心に応じた情報発信をすることが求められています。そのため、パートナーとして、ユーザーに近いインサイトを持つ外国人スタッフ、マーケティングの知見に長けたチームと協業していくことが望ましいでしょう。

インバウンドに関わる業界・仕事

インバウンドに関わる業界・仕事は多岐にわたります。航空・運輸やホテル、旅行代理店などの観光業界はもちろんですが、今後ニーズが多様化していくなかで、デジタル領域が観光・インバウンドの分野に貢献することも増えていくと考えられます。

皆さんも旅行や外出をする際、SNSなどでその場所に行くとどのような「体験」ができるか、投稿や口コミを見て事前に情報収集をすることはないでしょうか?SNSや動画で、どのような体験ができるか、どのような景色を見られるかなど、事前に「体感」「疑似体験」できる情報を効果的に発信することが、観光客から選ばれるために大切になってきます。オンラインツアーなど訪問前の「体感」「疑似体験」に関連する事業が今後も生まれてくると想定されます。

インバウンドの分野で築くキャリアパス

インバウンドは、中長期的に大きな成長が期待される産業です。航空・運輸やホテル、旅行代理店などの観光業界でのキャリアはもちろんですが、他の分野からも貢献が可能です。たとえば、公共。地方自治体などの立場で観光客の誘致を担うことも可能です。また先述のとおり、訪問前の「体感」に関連する事業が伸びていくと想定されています。誰にどのように魅力を伝えるかなど、情報発信に関するコンサルティングの需要は拡大していくと考えられます。一人当たりの消費額が高いことと連動し、高付加価値のマーケティングが求められる業界でもあります。デジタルマーケティングなどに知見を持つプレイヤーが今後活躍できる可能性も高い業界です。

そのため、全く違う領域から観光産業に貢献するなど、異業種での経験を活かして活躍できる可能性も十分あると考えられます。IT、デジタルマーケティング、コンサルティング業界で活躍してきた方が今後インバウンド、観光業界のディスラプターとしてキャリアを築いていくことも増えてくるでしょう。

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【この記事を監修】

▽Tokyo Creative株式会社 代表取締役 中川 智博
これまで、自治体、DMO、企業の海外デジタルマーケティングを100件以上支援。観光・デジタルマーケティングに関連する講演活動にも取り組み、外務省、新潟市、三重大学、川村女子大学、杏林大学など多数実績あり。観光庁「インバウンドの地方誘客促進のための専門家」として登録。その他にも観光庁「世界水準のDMO形成促進事業」における外部専門人材や、東京観光財団運営「観光まちづくりアドバイザー」などとして精力的に活動。

Tokyo Creativeは、地方自治体やDMOなどの観光戦略の企画立案や実行を支援する観光プロデュースを担っています。コロナ以前は訪日外国人向けの情報発信やマーケティング支援を中心とした事業を展開。日本在住の外国人YouTuberによる英語圏の人々へのPR動画を通じて日本の魅力を発信することを得意としています。現在はオンラインファムトリップなど、旅行ができないなかでも情報発信を通して地域のファンを獲得し、コロナ禍・コロナ後での集客につながる新たな観光事業を展開しています。

▽会社概要
会 社 名:Tokyo Creative株式会社
代 表 者:中川智博、小野沢隆
設   立:2013年8月
資 本 金:9000万円
従 業 員:16名(2022年8月時点)
所 在 地:東京都墨田区横網1-10-5
KOKUGIKAN FRONT BUILDING レッドホースコーポレーション株式会社内
企業HP:https://www.tokyocreative.jp/ja/
SNS:https://www.instagram.com/tokyocreative.jp/
YouTube:https://www.youtube.com/c/TokyoCreativePlay

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