日本の外科医に男女格差 女性外科医は男性外科医より「執刀数が少ない」…難易度の高い手術ほど顕著に

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大阪医科薬科大学の河野恵美子助教や東京大学大学院の野村幸世准教授、岐阜大学の吉田和弘学長ら、複数の大学の研究者からなるグループは、日本の女性外科医は男性外科医より執刀数が少なく、手術経験数に男女格差があることを発表しました。このほど米国の学術誌「JAMA surgery」にオンライン掲載されました。

調査は日本消化器外科学会のデータベースを使い、6種類の手術(胆嚢摘出術・虫垂切除術・幽門側胃切除術・結腸右半切除術・低位前方切除術・膵頭十二指腸切除術)について、外科医1人当たりの執刀数を男女で比較した結果、いずれの手術も女性外科医は男性外科医より執刀数が少ないことが分かったといいます。また、こうした差は難易度の高い手術ほど顕著であり、経験年数の増大とともに拡大する傾向にあったそうです。

外科医の手術執刀担当の割り振りは、各施設の外科のトップが決めていることがほとんどです。これまでの海外の研究から、研修期間中の手術トレーニングに男女格差があることが分かっているものの、こうした格差は若い研修期間中に限定されている報告がほとんどで、全ての経験年数別に比較した調査は見当たらなかったといいます。

なお、厚生労働省の調査によると、外科医の数は2006年の3万2448人から、18年には1万3751人と激減しており、外科医不足が深刻化しているといいます。一方、外科医に占める女性の割合は、4.2%から6.2%に増加しているものの、指導的立場にある女性は極端に少ないそうです。日本消化器外科学会認定施設の代表者は、男性の966人に対し、女性はわずか7人(0.7%)に過ぎず、女性が組織をマネージメントする立場に就くことは容易ではないといいます。

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同研究グループは、「性別が手術執刀経験に大きく影響を与えているという結果となった。女性も一定以上の手術手技を獲得し、指導的立場で日本の外科診療を担っていくことが本来のあるべき姿。この研究結果が外科におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント(潜在的能力の強化)の実現につながることを期待している」と述べています。

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