7月10日が投票日の参議院議員選挙が行われています。今回は選挙区と比例代表を合わせて500人以上が立候補しています。候補のポスターや選挙公報をよく見ると「公認」や「推薦」などの文字が書かれています。公認とは何なのか、推薦とは何が違うのか。京都産業大の中井歩教授(政治過程論)に聞きました。
-立候補者のポスターに「党公認」などの文字が書かれています。「公認」とは何ですか?「推薦」とはどう違うのですか?
中井教授 公認や推薦はブランドだと言えそうです。公認は政党のいわば「自社ブランドの商品」。だから複数の政党から公認をもらうことはまずありません。多くの場合、公認候補はその党の党員です。自民党員が自民党公認をもらう、立憲民主党員が立憲民主党公認をもらう。そのような仕組みです。
議員が不祥事を起こすと、特にその発覚が選挙直前だと、ブランドイメージに関わるので、政党関係者は激怒します。最近の例にあったように離党しただけでは許さずに、党幹部が辞職を促していたのはそのためです。
「推薦」というのはいわば「おすすめの商品」です。おすすめですから、複数の政党がおすすめすることもある。例えば自民党の公認候補だけど、公明党が推薦することもありますし、公明党公認候補を自民党が推薦することもあります。
無所属というのは「ノーブランド」。ですが、政党がおすすめする場合があります。
知事選挙が分かりやすいですね。幅広い支持を得るために党派性を消すことがあるのです。例えば、元々は与党の国会議員だったけれど、無所属で知事選挙に立候補して、与党の「推薦」だけでなく、野党の推薦などを得て「相乗り」となることもあります。
-今回の参議院議員選挙は定数2の京都選挙区で9人が立候補しています。公認や推薦を基準に投票してもいいものでしょうか。
中井教授 仮に、私が立候補したとしましょう。「○×党の中井です」と訴えるよりも「○×党です」という方が、「○×党ということは、こういう政策をするんだろうな」というのが分かります。イメージを分かってもらうために、候補者も政党のブランドを利用しているのです。「○×党の公認です」、「○×党の推薦です」というと少なくとも「○×党」に考え方が近いんだろうな、と分かります。
ブランドといいましたが、公認や推薦は別の言い方だと「ラベル」と表現できるかもしれません。政党には、ラベルを信じてくれている人に良い候補者をそろえることで責任を果たすことが求められています。有権者はそのラベルへの信頼をもとに候補者を判断することが多いからです。