首都圏新築分譲マンションの平均価格は6260万円(不動産経済研究所調べ)と、3年連続で上昇し、バブル期を超えて過去最高を記録しているといいます。自宅をご自身で購入したと回答した全国の20~69歳の男女3947人に「住宅ローン」について聞いたところ、約4割の世帯では「頭金ゼロもしくは1割程度」で自宅を購入していることがわかりました。また、20代では、2割の人が「ペアローン(一つの物件に対して、一定の収入がある複数の人がそれぞれに住宅ローンを契約し、互いに連帯保証人になる借入れ方法)」を利用しており、全年代のペアローン利用比率に対して2倍以上となっていることがわかったそうです。
三井住友信託銀行株式会社が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」が2022年1月に「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」として実施した調査です。
はじめに、「住宅購入時のローン利用」について聞いたところ、全体では「住宅ローン利用中」(36.1%)と「住宅ローンで購入したが返済完了した」(42.5%)を合わせると78.6%の人が住宅ローンを利用していることがわかりました。
特に30歳代では、「住宅ローン利用中」(63.6%)、「住宅ローンで購入したが返済完了した」(20.4%)を合わせて84.0%と高くなっており、30歳代の住居購入はローンに拠っていることが伺えたそうです。
また、ローンを組んで自宅を購入したと回答した3118人に「ローン設定時の頭金(対物件価格比率)」について聞いたところ、全体では「頭金はゼロ」が24.3%、「頭金は1割」が19.7%となっており、44%の世帯では「頭金ゼロもしくは1割程度」で自宅を購入しているという結果となりました。
特に、30歳代の「頭金ゼロ」(38.6%)、「頭金1割」(26.9%)の比率は、合わせて65.5%となっており、「物件価格は高止まりしていて、待っていても安くなりそうにない」「借入金利が上昇する前にローンで自宅を購入しておきたい」「住宅ロ―ン減税のメリットを利用したい」「頭金を貯めていると、いざローンを組んだ際の返済完了時が高齢になってしまう」など、各世帯での切実なニーズが表れたといいます。
次に、住宅ローンを利用して自宅を購入した3101人に「住宅ローンの借入形態」を聞いたところ、全年代では「単独ローン」が77%、「ペアローン」は9%となっており、現状は単独ローンが多数派となりました。
年代別の利用率を見ると、20代では「単独ローン」が72%だった一方で、「ペアローン」も21%と、全年代のペアローン利用比率に対して2倍以上となっていることがわかったといいます。
また、「当初借入額」については、「単独ローン」の2345万円に対し、「ペアローン」では2796万円と高額となっており、特に20代では「単独ローン」が2420万円、「ペアローン」が3747万円で、差分が1327万円と大きく、ペアローンの借入額は、単独ローン比で155%の水準となっていることもわかったそうです。
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調査を行なった同社は、若い世代を中心に利用が増えてきているペアローンについて、「『借入額が大きくできることで物件の選択肢が広がる』『それぞれのローンで住宅ローン控除が適用可能(住宅ローン控除の要件を満たした場合、それぞれの住宅ローンにおいて住宅ローン控除が適用されます)』などが期待できる一方で、『事務手数料などの費用負担が増える(それぞれにローンを設定することから、事務取扱手数料、印紙税、保証料、抵当権設定費用などがそれぞれの契約ごとに発生します)』『ペアを解消(離婚など)した場合への想定』などの留意点も確認しておくことが望まれます」と説明。
さらに、ペアを解消(離婚など)した場合については「将来においてペアを解消(離婚など)することになった場合、『物件売却→ローン完済』ができればよいのですが、それでも債務が残るケースや、売却が難しいケースでは、返済が困難になることもあります。ペア解消後も2人で所有を継続し、それぞれローンを返済していくという選択肢もありますが、『自身が債務者』であり、『元パートナーの連帯保証人』であるということは、ペアを解消しても変わらないことにも留意が必要です」と説明しています。
また、「住宅ローンの利用にあたって借入形態を含め選択肢が増えてきていますが、将来における環境変化などに対して対応策が発動できるよう『ローンリテラシー』を高めておくことが重要と考えられます」とも述べています。