「ぼくがこうして待ってると、気が付いてくれて、いつもオヤツをくれたおばあちゃんがいなくなっちゃったんだって。息子さんが『会っていって』と、ぼくは初めてお家の中に入れてもらった。お母さんがチーンってしたとき、ぼくもキューって泣いたよ」とつぶやき、1枚の写真をツイッターに投稿した、ぼく、ヨナ(@jhona4747)さん。
そこに写っていたのは、大好きな人がやって来るのを、嬉しそうな顔をして待っているわんこの姿。「悲しいですね。忠犬ハチ公のようですね」「視界がにじむ。わかってるんだね」と、わんこの気持ちに寄り添うたくさんのリプライが寄せられた投稿について、飼い主さんにお話を聞きました。
子犬の頃から可愛がってくれた人
「今日も来たよ!」という心の声が聞こえそうな横顔で待っていたわんちゃんは、「ヨナくん」の愛称で呼ばれている、7歳8カ月になるもと保護犬の男の子、ジョナサンくん。茨城県の保健所で産まれた雑種の子犬でした。25キロと大きく成長したヨナくんですが、ビビりで警戒心が強いため、誰にでも懐くタイプではないのだそうです。そんななか、お散歩デビューの頃から可愛がってもらい、ヨナくんも心からなついていたのが「おばあちゃん」だったそうです。
嬉しい話ではないけれど…
「ヨナは忘れないと思います」「ヨナがお散歩デビューのときから本当に可愛がってくれて、感謝しかない。ヨナはしばらくおばあちゃんちの前で待つんだろうな。悲しいよ」とツイートしていた飼い主さん。今回の取材に対して、「嬉しい内容ではないので記事にしていただくことに迷いました…。でも記事がいろんな方の目にとまることで、『保護犬』という存在を知ってもらえたり、保護犬もこんなに可愛いんだよ、ということを知ってもらえたらいいなと思っています…」と語っていた飼い主さんに、「保護犬」のヨナくんと「おばあちゃん」のお話を伺いました。
「おばあちゃん」と一緒に笑った写真でした
ーーヨナくん視点の「僕もキューって泣いた」というツイートから、ヨナくんが状況を察した様子を思い浮かべて切なくなりました…。
「この日、おばあちゃんの息子さんから『ご迷惑でなかったら上がって下さい』と言われました。いつもはおばあちゃんのお宅の駐車場で、ヨナのオヤツをもらいながら立ち話をするので、私もヨナもそのとき初めてお家にお邪魔しました。息子さんと話しているとき、ヨナはキョトンとしていました。ヨナと息子さんは面識があり、『呼んでくるねー』とおばあちゃんを呼びに行ってくださったことも何度かあったので、このときも多分そんな感じだと思ったのでしょうね…。
お家のなかにはご親族もいらっしゃったため、ヨナは玄関までとしました。お焼香をさせてもらい、お鈴を鳴らしたとき、ヨナが玄関でキューと小さく鳴きました。その声を聞いて、ヨナも泣いているように感じました。私が戻るまで玄関で座って待っていて、『行くよ』と言うと、立ち止まることなく歩き始めました。いつもはオヤツをもらった後も、おかわりを催促したり、名残り惜しそうに振り返りながら離れるのに、私が泣きながら息子さんと挨拶をしていたので、いつもと何か違う…と思ったのかもしれません」
ーーヨナくんと「おばあちゃん」はいつもどんな様子だったのですか?
「ヨナがお散歩デビューの頃、道で何度か会うなか、『この子は可愛い。大好き。目が綺麗』と、会う度にヨナをすごくほめてくださるうちに仲良くなりました。ヨナだけでなく、他の犬にもオヤツをあげていらした犬好きの方で、周りの犬たちのアイドル的な存在でした。
ヨナはいつもおばあちゃんが気づいてくださるまで、ジーッと道から窓を見て待っていました。おばあちゃんが『視線を感じたの』とオヤツを持って出て来てくださると、キューキュー甘えた声を出していました。今回ツイートした写真は以前おばあちゃんに見せるために撮ったもので、『いつもこんな風に待ってるんだよ』と一緒に見て笑った写真でした」