京都市内の公園に、「石鹸田泡男(しゃぼたあわお)」を名乗る男性が出没し、人気を集めている。自作の道具で無数のシャボン玉を飛ばし、一瞬にしてファンタジーの世界をつくり出す。新型コロナウイルス禍の子どもたちを元気づけたい、との思いを原動力に無償で活動を続ける。
5月中旬の休日、梅小路公園(京都市下京区)の芝生広場に直径1メートル近くの巨大なシャボン玉が浮かんだ。居合わせた子どもらは共に追いかけたり、割ったりと大はしゃぎ。無数の小さな玉が降り注ぐと、「雪みたい」と歓声を上げた。
黙々と飛ばし続ける“シャボン玉おじさん”の正体は、会社員の津田博史さん(46)=上京区=。ほぼ毎週末、市内の公園に現れるほか、幼稚園や保育園にも無償で訪問している。
きっかけは新型コロナの感染拡大だった。一昨年の緊急事態宣言中、公園で小学生の長女とシャボン玉を飛ばしていると、周りの子も喜んでくれた。学校行事が中止になり、子どもが元気を失っているように感じていたさなか、「これなら笑顔を届けられる」とひらめいた。
そこからは「シャボン玉一色」の生活が始まり、大きくて割れない玉を作れる液体の配合を研究。全国各地にいるというシャボン玉愛好家にヒントを教えてもらいながら、何百回も試行錯誤を繰り返してきた。
現在は洗濯のりやガムシロップも加えた独自の液を使い、幼児もすっぽり入るほどの玉を自在に作り出せるように。釣りざおなどで作った道具を振ることで、大量の玉を一気に飛ばす。腕が痛むためサポーターをつけながら、1日に計2時間続けている。
「喜ぶ姿にこちらまで癒される。子どもだけでなく多くの人との新しいつながりが生まれた」。津田さんの将来の夢は、キャンピングカーで全国ツアーをすることだという。
活動場所や時間はインスタグラム「shabota_awao」で告知。学校などからの依頼も受け付けている。問い合わせはhtht3261@yahoo.co.jp