砂の中のチンアナゴ、思ったよりくねくねだった!「初めて見た」と驚きの声 新人飼育員が作った水槽が話題に

太田 浩子 太田 浩子

「チンアナゴの砂の中の姿を見てきた。
思ってたよりくねくねしてた。」

このようなつぶやきとともに画像を投稿した「こんくり(@sorihr1)」さん。そこには、水槽のガラスぎりぎりにいるチンアナゴの砂の中の様子が写っています。その姿は想像より、くねくねしていて、しかも長い! ツイートしたこんくりさんと、企画展示している沼津港深海水族館(静岡県沼津市)に聞きました。

 写真を見た人たちからは「砂の中初めてみた!!」「まっすぐじゃなかったなんて😆」「Σ(*゚Д゚*)チンアナゴが予想より長かったのにも驚きました!」「チンアナゴって砂から出てる部分しか知らなかったから驚き❣️」などとコメントが寄せられて22.3万を超える“いいね”がついています。

 こんくりさんは、これまでも何度か訪れていた沼津港深海水族館の企画展で、「チンアナゴの砂の中を見せる展示」を目にしました。その企画展とは、2021年に飼育員として入社した3人の女性が担当する生物の水槽を展示しながら、水族館の仕事を紹介する、春の特別展示『女性飼育員トリオのお仕事報告書』(4月23日から開催)です。

「今までチンアナゴの全身を見たことがなかったので、まずその長さに驚きました。砂に潜るために中でカーブしているだろう、とは予想していましたが、こんなに長く綺麗にくねくねしているとは知りませんでした」

 そう話すこんくりさんは、箕面公園昆虫館(大阪府箕面市)で飼育員をしています。そのため「飼育員さんのお仕事を紹介する企画展示を実施されていたので、きっと飼育員さんが水槽のセッティングを工夫されたのだな、と思いを馳せることができました。」と身近に感じたそう。

 こんくりさんも、展示ケース内のセッティングやメンテナンスを日々おこなっています。だからこそ、「『普段見えていない部分を見せる』というのは工夫が必要で難しいことだと思います。その分、それが見えると大きな感動や気づきがあることを実感しました。魚類と昆虫でやり方は異なりますが、見せるチャレンジを見習っていきたいです」と話しました。

 話題になった展示を企画した沼津港深海水族館の飼育員さんに聞きました。

──チンアナゴの砂の中を見せたいと思われたのはなぜですか?

 巣穴や住処を自ら作る生物が数多いなか、巣の中はどうなっているのか、作り方や形を多くの方に知ってもらいたい、という思いで企画しました。

──なるほど。砂に潜っていく過程も横から観察できるということですね。専用の水槽を作られたそうですが、工夫された点は?

 チンアナゴの太さに合わせて水槽の厚さを試行錯誤して調整したところです。

──水槽のサイズはどのくらいなのですか?

 横幅50センチ、高45センチ、奥行はチンアナゴのサイズに合わせておりまして、マル秘でお願いします。

──チンアナゴにストレスなく、でも砂の中の様子を見ることができる絶妙なサイズを導き出されたのですね。砂の中のチンアナゴは、なぜくねくねしているのでしょう?

 砂の中に素早く全身をかくすために巣穴がくねくねしています。ニシキアナゴの巣も同様の形をしています。

──チンアナゴの展示でほかに観察してほしいところはどんなところですか?

 巣の中が見えない状態では、チンアナゴの1/3ほどしか見えていないということです。チンアナゴの長さにも注目してもらいたいです。

──昨年入社されて、約1年で企画された展示がとても話題になりました。

 比較的知られているチンアナゴでここまで反響があるとは思いませんでした。

──将来はどんな飼育員になりたいと思われていますか?

 深海生物をはじめ、生物の面白さを皆様に伝えられる飼育員になりたいです。

 ◇ ◇

 2011年に開業した沼津港深海水族館は、近距離の駿河湾からストレスを少なく移動した深海生物を100種類以上展示しています。さらに、世界的にも珍しい冷凍、剥製あわせて5体のシーラカンスの標本を常設展示しています。今回話題になったチンアナゴの水槽は7月10日まで(予定)。

 また、こんくりさんが働く箕面公園昆虫館では、企画展『身近にせまる虫』/同時開催『バックヤードのひみつ〜展示の裏側お見せします〜』を、9月5日まで開催中です。こちらも普段目に触れることのない展示の裏側を見ることができます。

■沼津港深海水族館 http://www.numazu-deepsea.com

■箕面公園昆虫館 https://www.mino-konchu.jp

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