連休や夏のレジャーでバーベキューやキャンプを計画している人も多いのではないでしょうか。そんな中、海岸美化専門の団体「公益財団法人かながわ海岸美化財団」(本部、神奈川県茅ケ崎市)がTwitterを通じてこんな注意を呼びかけました。
「バーベキューで余った炭を砂浜に埋めていくケースが多々あります。もしかしたら、炭は自然に還っていくから大丈夫と思っているのかもしれませんが、違います!炭は自然に非常に還りづらいんです。炭と海洋プラスチックと実は似ていて、どちらも、細かくなるだけで、自然に残ってしまいます」(同財団公式Twitterアカウント@bikazaidanから引用)
砂浜から黒い炭のかけらを拾い上げる動画も公開。「砂浜に捨てられたバーベキューの炭。こうしてぼろぼろに細かくなりながらも、ずっとこのまま残ってしまうんです!」と実情を訴えました。
「コロナ禍以降、非常に増えました」
同財団の担当者に話を聞きました。
──炭の放置はいつ頃から増えましたか。
「炭に限らず、海岸のバーベキューごみの放置は以前からありました。しかしコロナ禍で海岸でのバーベキューが近場でなおかつ屋外のレジャーとして人気になり、バーベキューごみはこの2年でとても増えました。それに伴い、海岸に捨てられたり、埋められたりする炭も非常に増えました」
──財団で炭の処理を。
「当財団では拾えるものは全て拾っていますが、細かくなってしまったものは全て回収できないのが現状です。ですので、細かな黒いカスが砂浜に増えていってしまうのがとても残念です」
──Twitterに投稿した理由は。
「まずこうした現状を多くの方に知っていただきたくSNSに投稿しました。炭を埋めていく人の中には、炭が分解されて自然に還るものと誤解している人もいると思います。きちんとした知識がないと変わらないと思ったからです」
──今後の願いは。
「今、マイクロプラスチックなどの海洋プラは、自然に還らないので捨ててはいけないし、回収しなくてはいけないという認識が広くあると思いますが、実は炭もプラも同じなのだということを知っていただければ、きちんと処理する方も増えるのではないかと思います。海岸はゴミ箱ではありません。ルール等で規制されてしまう前に、バーベキューを楽しみたい人自身が、楽しむ場を守る意識と行動が必要だと思います」
自治体ホームページも「厳禁です」
神奈川県茅ヶ崎市はホームページの中で「燃え残りの炭は絶対に『自然に帰らない』ので砂浜に埋めるのは厳禁です。炭はほぼ炭素の集まり。腐って土になるようなことはありません。砂浜を炭で汚したらそのまま永遠に残ってしまいます」と説明。「火が残っている状態の炭や消したつもりの炭も再発火する危険があり、火事や事故(砂浜を素足で歩いていた子ども達が足の裏を火傷してしまう等)につながる恐れがあります。芯まで確実に水等で消火し、家庭ごみとして持ち帰ってください」と呼びかけています。
また、消費者庁でも「子どもを事故から守る!事故防止ポータル」の中でバーベキューの炭に関する事故の事例を取り上げ、注意喚起しています。
事例は次の通りです。
「川辺でバーベキューをしていた際、素足で歩いていて使用直後の炭を踏んでしまった。左足の裏にII度のやけど、転んで手をついて左手薬指にも小さい水ぶくれを伴うやけどを負った(6歳)」