どれくらいの距離を走るのが理想?健康維持のためのランニング講座

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春はランニングを始めるのにちょうどいい季節。新年度の開始に合わせて、ランニングシューズやウェアを買い揃えたという人もいるかと思います。ただ実際に走り出そうとしたときに疑問に感じるのが、「どれくらいの距離を走ればいいの?」ということですよね。

1~2km程度では短すぎるような気がしますが、いきなり10kmのような長い距離を走るのは不安ですよね。なにか目安があればいいのにと思っている人のために、ここではランニング初心者が走行距離をどう考えればいいのかについて解説していきます。

マラソン大会のためのランニングと健康のためのランニングでは理想の走行距離が違います


長い距離を走れば健康になるという勘違い

「走った距離は裏切らない」という考え方が、ランナーの中で浸透しています。このため走行距離は長ければ長いほどいいと思われがちですが、長い距離を走ることが体に与えるダメージは想像以上に大きく、多くのランナーが健康とはかけ離れた状態にあります。

例えばフルマラソンのような長い距離を走ると、トータルでの運動強度が高くなり、免疫力が低下することがわかっています。運動すれば免疫力が上がるはずでは?と思うかもしれませんが、何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

ほどよい距離、ほどよい運動量なら免疫力アップを期待できます。ところが、それを超えてしまうと体内からミネラルなどの栄養素や水分が汗として抜けてしまいますし、さらに体内には病気や老化の原因となる活性酸素が発生します。

普段から長い距離を習慣的に走れば、筋力や持久力が向上するので健康な体を手に入れたように思えますが、それは体の強度が上がっているだけ。「体の強度が高いこと」と「健康であること」は、必ずしも一致するわけではないということを頭に入れておいてください。

【参考】
適度な運動で免疫力向上:花王健康科学研究所
活性酸素と酸化ストレス | e-ヘルスネット(厚生労働省)

長く走れば走るほど健康になるわけではありません


健康維持のためのランニングなら30分程度でOK

では具体的にどれくらい走ればいいのかというと、これに関しては厚生労働省が「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」で報告している基準があります。そこでは18~64歳の身体活動(生活活動・運動)の基準として、「強度が3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週行う」と記載されています。
※65歳以上は10メッツ・時/時間

メッツというのは身体活動の強度を表す単位のことで、たとえば1時間に8km進むような速度のランニングなら、8.3メッツということになります。1週間で23メッツ・時を走ろうとすると、毎日24分程度走る計算になります。

ただし、そこまで厳密に計算する必要はなく、筆者の行っているランニングレッスンでは「会話をできるくらいのペースで1日30分、毎日走る」としています。もちろんこれは「健康」になるための指標であり、フルマラソン完走を考えるならこれでは足りません。

ランニングは目的によって、理想の走行距離や速度が違ってきます。体の強度をもっと高めたいなら、さらに高い負荷を掛ける必要がありますが、健康な状態を維持する目的なら、1日30分でいいわけです。これなら簡単に続けられそうですよね。

【参考】
運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書
改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』

会話を楽しめるくらいのペースで30分程度走ろう


30分も走れないならウォーキングを組み合わせよう

健康維持のためなら1日30分のランニングでOKと言われても、そもそも30分も走れないという人もいますよね。その場合にはウォーキングを組み合わせましょう。たとえば10分だけランニングにするなら、残り20分をウォーキングにするわけですが、これでは負荷が足りません。

ランニングとウォーキングを組み合わせるときは、下記の計算式でウォーキング時間を算出しましょう。

ウォーキング時間=(30分 - ランニング時間)✕2

ランニングを10分だけにするなら、20分の2倍、40分ほどウォーキングをしてください。10分のランニング+40分のウォーキングで、合計50分の運動時間ということになります。時間は長くなりますが、関節への負担も小さくなり、無理なく続けられます。

走っていて、膝などに違和感が出たという人も、ランニングからウォーキングに切り替えるのがおすすめ。最後まで走りきった結果、膝に痛みが発生して翌日から走れなくなったというのでは、何のためにがんばったのかわかりませんよね。

努力や忍耐を美徳としてきた時代が長かったため、ついつい無理してがんばって、結果的にケガをして走れなくなる人が少なくありません。健康を手に入れたいなら「緩く楽しく」が基本。走れなければ歩けばいい。それくらいの気持ちでランニングを楽しみましょう。

最初は走れなくてもOK!ウォーキングと組み合わせよう

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