自分の更年期障害のことを「夫・パートナーに話や相談をしたことがない」と回答した女性は約7割―。雑誌「ハルメク」をグループで発行する株式会社ハルメクホールディングスが実施した調査で、そんな結果が明らかになりました。
40~79歳の男女1600人(男性800人/女性800人)を対象に、2022年2月に聞きました。
更年期障害の認知度(名前は知っている+内容を知っている)と理解度(内容を知っている)を男女別に見ると、「女性の更年期障害に関する認知度」は男性が87.9%、女性が97.4%でした。一方、「理解度」については男性が22.8%、女性が66.5%となり、男性の理解度はまだ低いといいます。なお、男性の更年期障害については、男女合わせた認知度は77.2%、理解度はわずか14.8%だったそうです。
女性回答者800人のうち、「更年期障害を経験したことがある」(53.1%)と回答した女性は425人でした。この425人に「発生した症状」をたずねたところ、「のぼせ・ほてり」(52.2%)、「汗・ホットフラッシュ」(37.2%)、「イライラする」(36.7%)が多い結果となり、体の不調だけでなく、心身両面で不調が現れていることがわかったそうです。
更年期障害の経験がある女性425人のうち、夫・パートナーがいる/いたことがある女性373人に「夫・パートナーに、自分の更年期障害の話や相談をしたことがありますか」と聞いたところ、「ある」(31.6%)と回答した人は118人、「ない」(68.4%)と回答した人は255人でした。
また、話や相談をしない・しなかった理由としては、「してもしょうがない」「わかってもらえそうにない」という諦めの気持ちが多かったそうです。相談された男性も、相談されてもどうしていいのかわからず何も対応できず困ってしまう人が目立ったといいます。一方で、家族へ相談して理解を得る努力をしたり、夫が家事をサポートしたり、というケースも散見されたそうです。更年期障害の話や相談についてのコメントは以下の通りです。
【話・相談の内容(相談をしたことが「ある」と回答した人)】
▽多分これって更年期よね~と言う感じで話した(46歳)
▽体調が悪いため、家事がおろそかになってしまう。さぼりではなく、仕方がないこと。そういう理解をしてもらって、できる限り家事を手伝ってもらえるようにお願いした(48歳)
▽辛いことを理解してもらう。→なんとなくの不機嫌、不注意ミス等は更年期のせいとして納得してもらえた(62歳)
▽症状をつたえて気持ちをわかってもらった(73歳)
▽一応理解はしてくれたと思うが、自分のことでないからそれほど親身にはなってくれなかった(58歳)
▽症状を伝えたが、特に反応なくかえってイヤな思いをしただけだった(61歳)
【話や相談をしなかった理由(相談をしたことが「ない」と回答した人)】
▽症状がそれほど重くなかったから(多数)
▽言ってもわかってもらえそうにない/どうせわからないだろうから(多数)
▽男性には理解できないと思うので(多数)
【どんなことを妻・パートナーから相談されたか(男性のコメント)】
▽症状があることを打ち明けられた。気遣うようになった(54歳)
▽毎日、理由もなくイライラしているので、市販薬を服用するよう進めた(72歳)
▽体のバランスが崩れたり、体を動かすのが辛かったりしたら焦らずにその症状に向き合うようにした(74歳)
▽体調不良になった場合の手伝いなどを相談し出来ることを手伝った(74歳)
▽「更年期障害やから、ほっといて」と言われる(69歳)
▽体が火照る、気分が憂鬱と言われたが、話を聞くだけ(67歳)
更年期障害の経験がある女性425人に「更年期障害を経験した際の就業状況」を聞いたところ、「フルタイム・契約・嘱託・自営などで働いていた」(36.9%)と回答した人は157人で、「パート・アルバイトで働いていた」(27.1%)と回答した115人と合わせると、更年期障害の時に仕事をしていたのは272人(64.0%)でした。就業中に更年期障害によって経験した苦労や負担についてのコメントは以下の通りです。
▽気分が沈んで仕事のペースに影響があった(41歳)
▽ホットフラッシュのような症状もありましたが、この先どうなってしまうのかという不安感が辛かった(61歳)
▽仕事中に症状が出て辛くても、周りが自分より若い男性ばかりで辛いことを言っても理解してもらえない(57歳)
▽仕事も家事も効率よくやりたいのに思い通りに上手くいかず悩んだことがあります(75歳)
▽起きていられないくらいの頭痛と吐き気があった。仕事を休んだ(77歳)
▽仕事をしていて忙しかったのでつい家族に迷惑をかけた。子供の世話が思うようにできずイライラした(73歳)
▽親の介護と時期が一緒になり、つらかった(69歳)
▽職場で仕事中に汗がだらだら出てきて恥ずかしかった。夫が理解してくれず、いつもけんかをしているような日々だった(62歳)
▽寝付きが悪いので翌日の勤務に支障があった(61歳)
▽めまいが続いた時、職場の理解が得られず退職したこと(53歳)
なお、回答者全員に「体の不調で多いのはなんですか」と聞いたところ、「目」(25.8%)、「高血圧」(24.8%)、「腰」(23.3%)といった回答が続きました。
また、男性の方が多く出る症状としては、「血圧が高い(14.5ポイント差)」「内臓脂肪が多い(7.3ポイント差)」「肝臓(5.6ポイント差)」という結果になりました。一方、女性の方が多く出る症状は、「肩(8.1ポイント差)」「腹筋が弱い(8.5ポイント差)」「便秘(10.5ポイント差)」「寝付きが悪い(6.4ポイント差)」「ホルモンバランスの崩れ(7.1ポイント差)」「外反母趾(6.5ポイント差)」となり、女性は男性に比べると、日常で感じる不調が多いことが伺えたそうです。