4月1日から成人年齢18歳に引き下げ…その問題点とは? 夜回り先生が少年犯罪における弊害を懸念

夜回り先生・水谷修/少数異見

水谷 修 水谷 修

4月1日から日本の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は、年齢引き下げに伴って想定される問題点について、具体例を挙げながら指摘した。

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2014年に国民投票法が改正され、18歳から国民投票に参加できるようになりました。続いて16年には公職選挙法が改正され、18歳から選挙権が与えられるようになりました。この背景には何があったのでしょう。一部の与党議員は、私に「早くから選挙権を与えることによって、公民としての自覚を持たせるためだ」と語っていました。当時、私は反対し続けていました。公民としての自覚は、中学や高等学校での教育の中で指導すべき事であり、それを政治が、選挙権を持たせることにより、自覚させようとすることは傲慢だし、無理があるという理由からでした。

そして、この4月1日から、ついに民法改正によって、成年年齢が18歳となります。

私は、この成年年齢改正のための国の審議会に参考人として参加しています。その時には、必死に反対意見を伝えました。成年年齢を18歳とすると、その改正によって影響を受ける法律はたくさんあります。例えば、喫煙、飲酒。また、国民年金。特に少年法です。そのように多岐にわたる影響をもたらす成年年齢の改正を、民法の改正からすべきではなく、国民多くに是非を問いながら、法務省だけではなく、厚生労働省や文部科学省など関係するすべて省庁で検討すべきだと語りました。参加していた多くの委員の賛同を得ることができましたが、その国会提出において、反対意見付記ということで済まされてしまいました。

私が一番守りたかった少年法についても、この4月1日から改正され、18歳、19歳は「特定少年」という扱いで、矯正教育については、ほぼかつてと同じように保障され、成人と同じ刑務所で処遇を受けることは避けられましたが、地方裁判所によってこれまでの成人とほぼ同じように裁かれ、名前や写真も公開されることとなってしまいました。

当時私が、法務省や政府関係者、関係機関に送った「少年法の成人年齢を18歳に引き下げる法改正の問題点について」という意見書から一部を以下に抜粋します。

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18歳と19歳が成年とされれば、矯正教育を受ける機会を失い、そのまま警察から検察に送致されることとなるが、窃盗などの微罪の場合は、その7割弱が起訴猶予、さらに刑事事件として立件された場合でも、その多くは執行猶予という形で社会に戻ることになる。少年犯罪の原因の背景には、家庭環境や生育環境があり、それを変えていかない限り、その少年の更生の手助けにはならないという観点から見れば、多くの少年がその機会を奪われることとなり、元の環境に戻され、再犯を繰り返すことになりかねない。

仮に高校3年生で18歳の少年による犯罪の場合、名前が公開されることにより、どんな微罪であったとしても高校を辞めざるを得なくなり、またその後の人生における就職や結婚などの社会生活に大きな不利益をつくることとなる。また、高校3年生3人(1人は18歳、2人は17歳)が同じ犯罪をした場合、18歳の高校生は氏名が公開され、あとの2人は非公開となり、学校での処分やその後の人生について、不平等をつくることとなってしまう。

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私は、問いたい。

なぜ成年年齢を18歳にする必要があるのかと。その理由を、きちんと理解している国民はいないはずです。

思い出してください。欧米が第一次世界大戦以降、成年年齢を18歳とした一番の理由は徴兵です。少年を戦場に送るわけにはいかない。でも、1人でも多くの軍人が必要だ。そのため、徴兵年齢を18歳にしたという事実があります。軍隊ではありませんが、日本の自衛隊も現在まで20歳未満の自衛隊員を海外の平和維持活動など危険な任務に就かせることはありませんでした。しかしそれも、来月からは可能になります。

成年年齢の改正は、私から見て「百害あって一利なし」です。ぜひ、20歳に戻して欲しいと思います。みなさんは、どう考えますか。

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