食事のコントロールが難しい「拒食症」と「過食症」 きっかけは極端なダイエットや強度のストレス

ドクター備忘録

尾原 徹司 尾原 徹司

 「摂食障害」は若い女性を中心に増加している病気のひとつです。食事をほとんど食べなくなってしまう「拒食症(神経性食欲不振症)」と、極端に食べすぎる「過食症(神経性大食症)」の2タイプに分けることができます。

 正反対の疾患に思われがちですが、拒食から過食へ、過食から拒食へと変わることも珍しくありません。

 原因を特定することは難しく、きっかけは極端なダイエットだったり、強度のストレスだったり。食に強くとらわれすぎ、痩せることが自己肯定感に結びき、拒食症や過食症になる人が少なくありません。

 また、社会や人間関係などの不安がきっかけで食事のコントロールができなくなったという人もいます。

 拒食症の症状は痩せ願望が強く、痩せているのに自分では痩せていると思えなくて、拒食がひどくなっていきます。無気力や抑うつ状態が見られたり、無月経や低体温、貧血、味覚障害などの症状も起きやすくなります。

 判断基準はBMI=体重【kg】÷(身長【m】)2が17.5以下であること。体重を増やさないために自己誘発性嘔吐、下剤の使用、過度の運動、食欲減退剤あるいは利尿剤の使用といった行動が1つ以上あり、太る食物を避ける傾向にある人。肥満恐怖心がある人も要注意です。

 一方、過食症の判断基準は大量に食べることを繰り返し、自分ではそれをコントロールできない状態に陥っている人のことをさします。過食症も体重増加を防ぐため自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤などを乱用する人がいます。

 日本では医療機関を受診している摂食障害患者は年間に約21万人と言われています。食事・栄養などの指導はもとより、体重を回復する必要がある場合には再栄養療法や、心理療法などを行うこともあります。

 摂食障害は回復することが可能な病気です。あきらめず、早めに医療機関で受診しましょう。

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