明け方まで寝られず、朝起きれない…「睡眠相後退症候群」コロナ禍で増加? 医師が解説「体内時計の乱れによる睡眠障害」

ドクター備忘録

尾原 徹司 尾原 徹司

 春眠暁を覚えず、といいます。もうすぐ弥生3月。春になると日差しも優しく、つい寝過ごしてしまいがちですが、健康と深く関わっているのが睡眠です。

 総務省統計局が5年ごとに実施している「社会生活基本調査」によれば、平成28年の日本人の睡眠時間は平均7時間42分。睡眠時間=健康とは一概には言えませんが、慢性的な睡眠不足は生活習慣病のリスクを高めるとも言われています。

 なぜならば、夜型や睡眠の浅い人などは恒常的に緊張状態である交感神経が高まり、高血圧を招きやすいからです。また、睡眠不足は血糖値をコントロールするインスリンの働きを悪くするために糖尿病や、食欲を調整するホルモンにも影響を与え、肥満に結びつきやすくなっています。

 十分な睡眠時間同様に大切なのが睡眠の「質」です。目覚めた時に「熟睡した」と思える眠りが必要です。そのためには目覚めたら朝の光をしっかり浴び、体の中にある「体内時計」を狂わせないことが重要です。

 ところが、現代人はそううまくいきません。不眠症をはじめ、さまざまな睡眠障害に悩まされています。特にコロナ時代になり増えているのが「睡眠相(すいみんそう)後退症候群(DSPS)」です。これは体内時計のリズムの乱れで起こる睡眠障害の一つです。

 原因は言うまでもありません。テレワークや休校が増えて、夜遅くまで仕事や勉強、ゲームなどをしていると、日中の行動に関係なく、通常の時間に眠りにつけず、明け方に眠くなります。その結果、起きなければいけない時刻に起きられず、睡眠時間帯がずれてしまいます。

 治療法は一定時間日光や人工的高照度光を浴びて体内時計のリズムを早めて睡眠時間帯を徐々に戻す「高照度光療法」や、入眠時刻を毎日数時間ずつ遅らせていき患者の希望する時刻まで後退したところで睡眠時間帯を固定する「時間療法」などがあります。気になる人は睡眠専門外来を受診してください。

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